現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
ABA受容体の生理的機能の解析: ABA受容体の生理機能を明らかにするために、シロイヌナズナに存在する14種のPYR/PYL受容体のうち、10種類の変異株を収集してきたが、他の受容体に対してはT-DNA変異株が存在しない。そこで、CRISPRを用いて、サブクラブ別の多重変異株の作成を試みた。今年度は、サブクラスIII に属するPYR1(0), PYL1(1), PYL 2(2), PYL3 (3)の4つをすべて破壊した0/1/2/3四重変異株の作成が完了した。また、サブクラスII に属するPYL4(4), PYL5(5), PYL6(6), PYL11(11), PYL12(12), PYL13(13)の6つをすべて破壊した4/5/6/11/12/13六重変異株の作成が完了した。サブクラスIに属する PYL7~PYL 10の4つを破壊した変異株とすべての受容体を破壊した変異株は、来年度中に作成が完了する見込みである。 非モデル植物におけるABAシグナル伝達研究: ABA受容体を過剰発現させたコムギが耐乾性に加えて節水性を有し、少ない水供給でも種子の生産が可能な性質を獲得していることを明らかにした。節水性の特性は、ルビスコ活性の上昇により、光合成効率が上昇したことが要因であることを明らかにした。さらに、アフリカで猛威を振るう難防除雑草ストライガの宿主からの養水分の奪取として、ストライガはABAに対して感受性が低下しており、葉からの蒸散量が盛んであることを利用して、宿主からの養水分奪取の効率を上げている。ABA感受性低下の原因として、ストライガのABAシグナル伝達経路のうち、ABAの下流で働く脱リン酸化酵素が特異に変化していることが、ABAの感受性の低下の原因であることを突き止めた。
|