研究課題
本研究で作出した遺伝子組換え系統を用い、飛行の重要な要素である着陸に注目した分析を行った。光遺伝学的手法を用いた行動スクリーニングによって、細胞を活性化した場合に、着陸時にみとめられる脚節の伸展を伴う表現型を探索した。6本の脚節の全てが進展する表現型をもつ神経細胞として、DNp07, DNp10を同定した。多色染色法を用いて単一細胞レベルの形態を分析したところ、両細胞は、脳内で共通した視覚糸球体構造LPLC3, LPLC4に樹状突起分枝を有していた。軸索終末を標識する免疫組織化学的手法から、両細胞とも胸部神経節において歩脚神経叢に軸索投射を持っていることが分かり、脚節伸展の表現型への寄与が推察された。パッチクランプ法を用い、飛行中の両神経細胞の膜電位を計測したところ、接近物体や物体が移動する視覚刺激によって、興奮性の神経活動を示し、この際発火率と脚節の伸展長には相関関係があった。光遺伝学手法を用いて活性化した場合に6本の脚節を伸展する着陸態勢を誘導し、不活性化した場合に、伸展を起こす確率が低下したことから、両細胞は着陸行動を司令することが示唆される。両細胞は、飛行していない状態では、視覚刺激には応答を示さないものの、飛行中では興奮性の応答を示し、脚節を伸展することから、着陸の制御は状態依存的であることが分かった。DNp07は飛行活動時に分泌されるオクトパミンによる制御を受け、DNp10は飛行系の運動回路からのフィードバックを受けることによって調節されることが推察された。以上から、着陸行動における行動の切り替え機構を特徴づけることができた。
令和元年度が最終年度であるため、記入しない。
すべて 2020 2019
すべて 雑誌論文 (5件) (うち国際共著 4件、 査読あり 3件、 オープンアクセス 3件) 学会発表 (7件) (うち国際学会 4件、 招待講演 2件)
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