研究課題/領域番号 |
17H05013
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研究機関 | 公益財団法人がん研究会 |
研究代表者 |
立和名 博昭 公益財団法人がん研究会, がん研究所 がん生物部, 研究員 (70546382)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | ヒストン / クロマチン / エピジェネティクス |
研究実績の概要 |
本年度はH2A-H2B、H2A.X-H2BおよびH2A.Z-H2B複合体のクロマチンへの取り込み機構をRhIPアッセイにより解析を行なった。RhIPアッセイは透過性細胞のクロマチンに外から加えたヒストン複合体を取り込ませる実験系である。そのためヒストンの取り込みがどのクロマチン領域において起きたのかを解析することができる。さらに、細胞周期を同期させることにより、いつヒストンがクロマチンに取り込まれたのかを解析することが可能である。RhIPアッセイとChIP-seqを組み合わせたRhIP-ChIP-seqによりH2A-H2B、H2A.X-H2BおよびH2A.Z-H2B複合体は弛緩したユークロマチンに取り込まれることが明らかとなった。一方で凝集度の高いヘテロクロマチンはヒストンの取り込みを抑制していることが分かった。これらのことから、クロマチン構造に依存してヒストンの取り込みが起こることが明らかとなった。さらにヘテロクロマチンにヒストンが取り込まれるためには複製にカップルして取り込まれる必要があること、複製依存的に取り込まれるかいなかはヒストンの種類によって決まることを明らかにした。またH2A-H2BとH2A.Z-H2B複合体は複製依存的および非依存的どちらでもクロマチンへ取り込まれ、これらはクロマチンへの取り込みにおいては区別されていないことが分かった。H2A.Zは複製依存的にクロマチンに取り込まれることなく、複製非依存的にのみユークロマチンに取り込まれることが明らかとなった。さらに、H2A.Zは転写開始点周辺のクロマチンに特異的に取り込まれることが分かった。変異体を用いた解析を行い複製依存的なヒストンのクロマチンへの取り込みに必要なアミノ酸の同定にも成功した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
3年の研究期間のうち2年が経過したが、上記の様に研究成果があがっている。論文として発表する準備も整っており、当初の計画以上に進んでいる。
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今後の研究の推進方策 |
H2A.Zが転写開始点周辺のクロマチンに集積して、転写を活性化する機構を明らかにするために、H2A.Zヌクレオソームに特異的に結合する因子の解析を行う。現在までにRhIP-ChIP-mass spectrometryを行いH2A.Zヌクレオソームに特異的な因子群の同定に成功している。これらの因子群からH2A.Zによる転写活性化に機能している因子の同定とその機能解析を今後の研究として取り組む。
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