研究課題
ガスクロマトグラフ/同位体比質量分析計(GC/IRMS)を用いた人体組織(頭髪ケラチン・骨コラーゲン)のアミノ酸窒素同位体比分析法を確立した.測定系は共同研究先であるテュービンゲン大学(ドイツ)に新たに完備され、今後さらに計画が発展する見込みである。研究計画の最終年度である本年度は考古学資料・古生物学資料の分析まで進み、そのデータの一部はすでに出版されている(Naito et al. 2020)。本計画の中核をなす現代人体組織の分析については、申請者の所属機関の変更等の影響により計画の進行が遅れたものの、引き続き分析を遂行中である。一方で頭髪ケラチンタンパクに特徴的なアミノ酸であるシスチンの,過ギ酸酸化反応を利用した質量分析法やGC/IRMSを用いないアミノ酸分析法も検討した(内藤 2019).これらの手法の古病理学研究における活用方法についても議論した.国内外の資料の収集は順調に進んでおり、欧州から東アジアにいたる広大な地域の第四紀の先史人類学・古環境学研究等に貢献する見込みである。特に更新世末のイベリア半島の人類遺跡の資料に着目し、当時の人々の生業とハインリッヒイベント等の気候変動の関連を調査した。これらの資料に含まれるコラーゲンタンパク質の保存状況をスクリーニングする手法も開発し、ATR-FTIRのスペクトルデータを用いて簡易的に保存の良好な資料を判別できることが分かった。これにより骨コラーゲンの元素分析や年代測定に係るコストを削減できた。
令和元年度が最終年度であるため、記入しない。
すべて 2020 2019 その他
すべて 国際共同研究 (4件) 雑誌論文 (4件) (うち国際共著 4件、 オープンアクセス 3件、 査読あり 3件) 学会発表 (6件) (うち国際学会 5件)
Nature Ecology and Evolution
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