研究課題
好熱性アーキアSulfolobus acidocaldariusのtRNAのチオ化修飾におけるユビキチン様タンパク質の関与を調べた。S. acidocaldariusのユビキチン様タンパク質Saci_1652のアミノ酸配列は、超好熱性アーキアThermococcus kodakarensis由来TK1093のそれと相同であるため、tRNAチオ化修飾への関与が予想された。S. acidocaldariusのtRNA画分のLC-MS解析の結果、Saci_1652遺伝子破壊株においてtRNAのチオ化修飾率が親株と比べて減少した。tRNAのチオ化修飾はその熱安定性を高める効果があるため、好熱菌の高温での生育に重要である。生育特性解析の結果、Saci_1652遺伝子破壊株は比増殖速度が高温環境下で低下した。このことからSaci_1652はチオ化修飾の硫黄キャリアーとして機能することが示唆された。他方、T. kodakarensisにおいて、ユビキチン様タンパク質遺伝子の破壊がモリブドプテリン含有酵素活性に及ぼす影響を調べるために、元素硫黄非含有ピルビン酸含有培地で生育した野生株および各遺伝子破壊株(TK2118, TK1065, TK1093)より細胞抽出液を調製し、モリブドプテリン含有酵素活性を測定した。この結果、TK1065遺伝子破壊株、TK1093遺伝子破壊株、TK2118遺伝子破壊株ともにモリブドプテリン含有酵素活性が野生株と比べて低下した。いずれのユビキチン様タンパク質でもモリブドプテリン生合成に関わることが示唆され、TK2118は特にグリセロアルデヒド-3-リン酸:フェレドキシン酸化還元酵素の活性化に関わる(平成29年度の研究実績)と予想された。
令和元年度が最終年度であるため、記入しない。
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