研究課題/領域番号 |
17H05030
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研究機関 | 静岡県立大学 |
研究代表者 |
山口 賢彦 静岡県立大学, 薬学部, 助教 (00632639)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | 組織幹細胞 / 生活習慣病 / 肥満 / 栄養 |
研究実績の概要 |
脂肪組織に存在する間葉系幹細胞(脂肪幹細胞)は、成熟脂肪細胞を増加させることで肥満を悪化させる一因となる。したがって脂肪幹細胞の増殖・脂肪分化をコントロールすることで成熟脂肪細胞の増加を防ぐ新たな肥満予防法の確立が期待できる。これまでに脂肪幹細胞において高発現している遺伝子群を明らかにし、その中から脂肪分化を抑制する遺伝子として核内受容体(Nr4a1/2/3)に着目し、その機能解析を行った。 平成30年度はその中で核内受容体(Nr4a1/2/3)が脂肪分化を抑制する詳細な分子メカニズムの解析を行った。脂肪幹細胞は間葉系幹細胞の一種であり、骨芽細胞への分化能を有している。そこで脂肪分化を抑制するNr4a1/2/3は骨芽細胞への分化能に対してどのように作用するか検討した。骨分化に対するNr4a1/2/3の機能を解析するため、Nr4a1、Nr4a2、Nr4a3をそれぞれ安定発現させた間葉系細胞を作製した。作製した細胞を用いて骨分化条件下におけるRunx2(骨分化促進のマスター制御因子)の発現をWB法にて定量した。その結果、いずれのNr4aを発現させた場合においても、Runx2の発現が低下した。従ってNr4a1/2/3は脂肪分化だけではなく骨分化も抑制していることが示唆された。次に脂肪幹細胞選択的Nr4a2欠損マウスを作製し、in vivoにおけるNr4a2役割を検討した。脂肪組織から脂肪幹細胞を単離し、脂肪分化促進因子であるC/EBPαおよびPPARγの発現をRT-qPCR法にて定量した。その結果、コントロールマウスに比べNr4a2欠損マウスにおいて発現が増加しており、脂肪幹細胞の未分化性が低下していることが示唆された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
平成30年度は、核内受容体(Nr4a1/2/3)の骨分化調節作用について検討すること、脂肪幹細胞特異的なNr4a遺伝子欠損マウスを解析し、Nr4a遺伝子がin vivoで脂肪幹細胞の増殖・分化を制御しているか明らかにする計画を立てた。いずれも一定の結果が得られたことから、成果としては順調に進展したと言える。
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今後の研究の推進方策 |
平成31年度は、脂肪幹細胞特異的なNr4a遺伝子欠損マウスの解析を引き続き進め、Nr4a遺伝子がin vivoで脂肪幹細胞の増殖・分化を制御しているか明らかにする。また、脂肪幹細胞においてNr4aが高発現するメカニズムを明らかにする。
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