海水中のMg/Caが低い白亜紀は、カルサイトを作りやすい海水組成であり、Mg/Ca比で考えるとカルサイトのサンゴが生息していた可能性はある。しかし、水温が骨格形成に与える影響について、同じMg/Caで比較すると、温度が高いほどアラゴナイト骨格の割合が高いことがわかった。白亜紀は今よりも温暖な気候だったと言われており、水温的にはアラゴナイトが生成しやすい環境だと言える。網羅的遺伝子発現解析の結果では、低Mg/Caで主要骨格タンパク質が大きく発現上昇することがわかった。これらをまとめて、サンゴは能動的にアラゴナイト骨格を作るが、条件によって受動的にカルサイトを生成することが明らかとなった。
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