研究課題/領域番号 |
17H05035
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研究機関 | 三重大学 |
研究代表者 |
中島 亨 三重大学, 生物資源学研究科, 准教授 (60641553)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | 消費者需要 / マーケティング / 食品 / 農産物輸出 / 計量経済分析 |
研究実績の概要 |
本研究は「現時点では流通量が極めて限定的だが,今後流通量が増大した場合のインパクトが大きいと考えられる食品」を対象に,海外製品との競合が本格化した場合の消費者の食品需要を解明することを第一の目的としている。その目的達成のために設定された小課題のうち,小課題1(将来的に国内流通が本格化し,国産品との競合が見込まれる安価な外国産食品を対象に,我が国の消費者需要を明らかにする)および小課題2(海外の関税削減・撤廃等で,将来的に海外における流通の本格化が見込まれる良食味の国産食品を対象に,海外の消費者需要を明らかにする)に関して,本年度は消費者需要に関する調査・経済実験を実施することとした。また,小課題3(国内外の消費者需要に関する情報が,農業生産者の生産性および収益性に与える因果効果を検証する)に関しては,観測データを用いた因果効果分析について検討することとした。小課題4(貿易自由化の進展が我が国の食品生産に与える影響を定量的に明らかにする)では,小課題1および2の対象食品に影響を及ぼし得る自由貿易・経済連携協定を選定し,その協定が発効した際の効果について検討することとした。 小課題1の消費者需要に関する分析では,アテモヤを対象にオークション実験を実施し,アテモヤに対する支払意思額が現在の市場価格よりも低いこと,健康によいことや環境保全的な栽培が可能であるという情報を付与した場合に,支払意思額が上昇すること等を明らかにした。小課題2の分析では,海外の消費者に対して選択実験を実施し,緑茶や柑橘に対する支払意思額を導出した。小課題3については,傾向スコアマッチング法を用いた分析を行い,因果効果の分析手法について詳細に検討した。小課題4については,これまでに分析対象とした農産物・食品について,関税や非関税障壁が削減された場合の効果について考察した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
小課題3および4で定量的な分析を一部次年度に実施することとなったが,小課題1および2で当初の予定を上回る対象について取り組むことができ,全体として進展に遅れは見られないと判断されたため。
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今後の研究の推進方策 |
今後も当初の研究計画に従って研究を実施することを中心とする。その上で,本年度行う予定であった,情報が生産者の生産性等に与える効果や貿易環境の変化の効果に関する定量的な分析をあわせて実施する。
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