研究課題
褐色脂肪組織は脂肪酸や糖のエネルギーを消費することで、恒温動物の体温維持に寄与している。これまでの研究により、Apobec2欠損が褐色脂肪組織における脂質代謝を亢進すること、また高脂肪食給餌による肝臓への脂肪蓄積や脂質代謝異常を抑制することがわかっている。最終年度では、Apobec2が細胞のエネルギー代謝を直接的に制御しているか否か調べた。細胞外フラックスアナライザーを用いたエネルギー代謝解析(ミトストレステスト)の結果、マウス筋芽細胞C2C12に対するsiRNAを用いたApobec2ノックダウンにより、ミトコンドリアの呼吸の指標である酸素消費量の最大値が有意に増加した。また、Apobec2発現ベクターを用いてApobec2をC2C12に過剰発現させると、酸素消費量が有意に低下した。これらの結果から、筋芽細胞においてはApobec2がミトコンドリアの呼吸を制御している可能性が示唆された。一方で、マウス肝細胞AML12に対してApobec2過剰発現を行っても酸素消費量は変化しなかったことから、Apobec2によるミトコンドリア機能の制御は、細胞特異性があると考えられた。更に、褐色脂肪組織のメタボローム解析の結果、Apobec2欠損マウスでは野生型に比べて、グルコースを含めた複数の糖類が有意に増加しており、Apobec2が細胞内の代謝変化に寄与する可能性が示唆された。本研究により、Apobec2が褐色脂肪組織における脂質代謝を制御していることが示唆された。
令和元年度が最終年度であるため、記入しない。
すべて 2020 2019
すべて 雑誌論文 (4件) (うち査読あり 4件、 オープンアクセス 2件) 学会発表 (6件) (うち招待講演 1件)
Data in brief
巻: 105766 ページ: -
doi.org/10.1016/j.dib.2020.105766
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