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2019 年度 実績報告書

D型インフルエンザウイルスとウシ呼吸器病症候群の関連性の解明

研究課題

研究課題/領域番号 17H05042
研究機関東京大学

研究代表者

村上 晋  東京大学, 大学院農学生命科学研究科(農学部), 准教授 (10636757)

研究期間 (年度) 2017-04-01 – 2021-03-31
キーワードD型インフルエンザウイルス / ウシ呼吸器病
研究実績の概要

近年米国で発見されたD型インフルエンザウイルスは、ウシ呼吸器病症候群(BRDC)の患畜から高頻度でウイルス遺伝子が検出されることから、BRDCの原因ウイルスの一つである可能性が示されている。これまでに私たちは日本にもD型ウイルスが侵淫していることを初めて明らかにした。本研究では、わが国のウシやブタなどの家畜おけるD型インフルエンザウイルス感染の実態を大規模に調査し、そのBRDCとの関連性や、日本に存在するD型インフルエンザウイルスの生物性状を明らかにすることを目的とする。
疫学調査の一環としてウイルス分離を試みた。山形県で呼吸器症状を示したウシの呼吸器スワブから、D型ウイルスを検出した。その進化系統樹解析をしたところ、検出されたD型ウイルスはこれまでに報告のある遺伝的系統のいずれにも属していないことがわかった。さらに、スワブ検体を培養細胞に接種することで、ウイルスを分離した。この分離ウイルスの抗原性について、作出した抗HEFモノクローナル抗体パネルを用いて調べたところ、既知の系統に属するウイルス株とはHEF抗原性に違いがあることがわった。
今回検出・分離したD型インフルエンザウイルスは、既知のウイルス株とは異なる第4の遺伝学的系統を形成することが明らかとなった。この日本株の独自性についての知見は、ワクチン開発におけるウイルス株選択の重要性を示している。今後は、日本における第4系統ウイルスの侵淫・流行状況を明らかにするための疫学調査が必要であると考えられる。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

リバースジェネティクス法の開発や疫学調査など順調に進捗しているので。

今後の研究の推進方策

当初の計画通りに今後も、わが国の家畜におけるD型インフルエンザウイルス感染実態の血清学的疫学調査、ウシのBRDC発症とD型インフルエンザウイルス感染の関連性調査、D型インフルエンザウイルスの分離と性状解析をすすめていく。本年度は特にD型インフルエンザウイルスの動物感染モデルの確立について研究を進めていく。

  • 研究成果

    (7件)

すべて 2020 2019

すべて 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 2件、 オープンアクセス 1件) 学会発表 (5件)

  • [雑誌論文] Establishment of a Reverse Genetics System for Influenza D Virus2020

    • 著者名/発表者名
      Ishida Hiroho、Murakami Shin、Kamiki Haruhiko、Matsugo Hiromichi、Takenaka-Uema Akiko、Horimoto Taisuke
    • 雑誌名

      Journal of Virology

      巻: 94 ページ: e01767-19

    • DOI

      10.1128/JVI.01767-19

    • 査読あり
  • [雑誌論文] Influenza D Virus of New Phylogenetic Lineage, Japan2020

    • 著者名/発表者名
      Murakami Shin、Sato Ryota、Ishida Hiroho、Katayama Misa、Takenaka-Uema Akiko、Horimoto Taisuke
    • 雑誌名

      Emerging Infectious Diseases

      巻: 26 ページ: 168~171

    • DOI

      10.3201/eid2601.191092

    • 査読あり / オープンアクセス
  • [学会発表] 新しい遺伝学系統のD型インフルエンザウイルスの分離2019

    • 著者名/発表者名
      村上晋、佐藤遼太、石田大歩、上間亜希子、堀本泰介
    • 学会等名
      第162回日本獣医学会学術集会
  • [学会発表] 新しい遺伝学系統のD型インフルエンザウイルスの分離2019

    • 著者名/発表者名
      村上晋、佐藤遼太、石田大歩、上間亜希子、堀本泰介
    • 学会等名
      第67回日本ウイルス学会学術集会
  • [学会発表] リバースジェネティクス法で作出したD型インフルエンザウイルス粒子内に取り込まれるゲノムRNAの解析2019

    • 著者名/発表者名
      石田大歩、神木春彦、松郷宙倫、上間亜希子、村上晋、堀本泰介
    • 学会等名
      第162回日本獣医学会学術集会
  • [学会発表] リバースジェネティクス法で作出したインフルエンザDウイルス粒子内に取り込まれるゲノムRNAの解析2019

    • 著者名/発表者名
      石田大歩、神木春彦、松郷宙倫、上間亜希子、村上晋、堀本泰介
    • 学会等名
      第67回日本ウイルス学会学術集会
  • [学会発表] D型インフルエンザウイルスのリバースジェネティクス法の開発2019

    • 著者名/発表者名
      石田大歩、神木春彦、松郷宙倫、上間亜希子、村上晋、堀本泰介
    • 学会等名
      第33回インフルエンザウイルス研究者交流の会シンポジウム

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公開日: 2021-01-27  

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