本研究では細胞外小胞であるエクソソームを介した腫瘍細胞と免疫細胞の相互作用に着目し、腫瘍における化学療法耐性に関与する分子病態の解明に挑戦した。まず犬リンパ腫細胞由来のエクソソームが内包する分子プロファイルを網羅的に解析し、抗がん剤感受性株と耐性株の間で含有量が異なる核酸およびタンパクを明らかとし、特にCD82タンパクに関しては腫瘍を抑制する機能を持つ可能性を示した。また腫瘍細胞由来エクソソームは単球およびリンパ球の炎症性サイトカイン発現量を変化させ、特に細胞傷害性T細胞に対しては細胞死を誘導することも明らかにした。 本成果は腫瘍性疾患の分子病態に関する全く新たな知見を提供するものと考えている。
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