研究実績の概要 |
本年度は、RNA結合タンパク質であるDND1, NANOS2, NANOS3の変異体を129系統マウスに戻し交配を行い、精巣テラトーマの発症率を解析した。129系統は精巣テラトーマを高発症するマウス系統であり、野生型はマウスで約4%の確率で精巣テラトーマを発症するのに対して、DND1のヘテロ欠損で約30%、ホモ欠損で約95%の確率で精巣テラトーマを発症した。さらに、DND1のヘテロ欠損にNANOS2のホモ欠損を導入するとほぼ100%、NANOS3のヘテロ欠損を導入すると約60%と発症率が有意に上昇したことから、DND1とNANOS2、またはNNAOS3が協同的に精巣テラトーマの発症を抑制することを明らかにした(Imai A, et al. PLoS One. 2020)。 一方で、129系統を含まない混合型の遺伝背景で、薬剤誘導型DND1条件付き欠損マウスにおけるsingle cell RNA-seq解析を胎生14, 15, 16, 17日目の精巣で行なった。その結果、一部の生殖細胞が胎生15日目から16日目にかけて精巣テラトーマ前駆細胞であるEC細胞へと転換することが明らかとなった(Imai A, et al. 投稿準備中)。
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