本件研究はマウス始原生殖細胞特異的に発現するRNA結合タンパク質Dead end1とその結合タンパク質の欠損が、129系統マウスにおいて精巣テラトーマを高確率で発症することを示した。これは、始原生殖細胞の発生を制御するRNA分子機構の破綻が腫瘍発生の引き金となることを示しており、今後、Dead end1の分子機能を明らかにすることで腫瘍発生の分子機構が明らかになる可能性がある。また、ヒトの精巣腫瘍とマウス精巣テラトーマは共通の遺伝子が原因となることがあることから、マウス精巣テラトーマ発症の分子機構の解明はヒト精巣腫瘍発症の分子機構解明へとつながる可能性がある。
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