研究実績の概要 |
PPARγのリガンド結合ドメインとGAL4の融合タンパク質、および全長を用いたレポーターアッセイにより、エポキシ化ω3脂肪酸のPPARγに対するアンタゴニスト活性を評価した。その結果、エポキシ化ω3脂肪酸である17,18-EpETEおよび19,20-EpDPEは合成リガンド(ロシグリタゾン)や内因性リガンド(15-Deoxy-Δ12,14-prostaglandin J2)によるPPARγの活性化を抑制できなかった。このことから、エポキシ化ω3脂肪酸はPPARγを直接のターゲットにしていないことが明らかとなった。 PPARγが属する核内受容体ファミリーは、ヒトで48、マウスで49の遺伝子が存在する。それらのなかにはオーファンの核内受容体も数多く存在し、またRORαのようにPPARγのシスエレメントに作用してPPARγと拮抗的に働くものや、FXRやPXRのようにGW9662がアゴニストととして働くものも存在する。そこで、マウスの核内受容体ファミリーに属する遺伝子をほぼ全てクローニングし、エポキシ化ω3脂肪酸との関連を探索した。その結果、エポキシ化ω3脂肪酸によって発現制御されることを見出しているSrcin1遺伝子のプロモーター活性を促進する核内受容体Xを同定した。核内受容体Xはオーファン核内受容体であるが、PPARγとある程度の相同性を有し、立体構造も類似している。発現は比較的ユビキタスであり、マスト細胞にも発現していることを確認している。今後、培養マスト細胞において核内受容体Xをノックダウンし、その表現型を解析する予定である。
|