研究課題
若手研究(A)
精神的なストレスは、うつ病などの精神疾患が発症の原因になりうるものの、その発症メカニズムはいまだ不明な点が多い。本研究では、全脳細胞の活性化マッピングと機械学習等のデータ駆動型解析を組み合わせ、ストレス応答やその後のうつ様行動発症に関わる新たな神経細胞集団を同定した。この細胞集団の神経回路の入力と出力先を、全脳レベルで明らかにし、この細胞集団を特異的に神経活動操作することによりストレス後の不安行動や反復ストレスによるうつ様行動発症を制御できることを示した。
神経薬理学
不安症やうつ病の新規治療薬の第一選択薬は、選択的セロトニン再取り込み阻害薬であり、過去数十年間新薬は出ていない。しかし、うつ病患者の約3割は、既存の抗うつ薬では治療効果が得られない難治性であるとされている。そのため、新たな機序の抗うつ薬・不安症等の治療薬開発が求められている。本研究によって同定されたストレス応答性の細胞集団は、これらストレス性精神疾患の新たな標的になることが期待される。