研究実績の概要 |
1. 繊毛微小管を構成するチューブリンの翻訳後修飾に着目し、ポリグルタミル化が繊毛微小管とダイニン制御複合体との接合面に限局して起こることを、抗ポリグルタミル化抗体による構造ラベリングとクライオ電子トモグラフィーを用いて三次元的に示した。また遺伝子改変を用いて、負に荷電したポリグルタミル化チューブリンと、正に荷電したダイニン制御複合体との間の電荷的相互作用が微小管の滑り運動を制御していることを示した。この電荷的相互作用は精緻に制御されており、相互作用が強すぎても弱すぎても繊毛運動に負の影響を与えることを明らかにした。(Kubo and Oda, Molecular Biology of the Cell 2017) 2. 繊毛ダイニンの1つである内腕ダイニンfのmotor domainを微小管に固定するtether complexを発見し、それがFAP43/FAP244とFAP44の複合体で構成されることを示した。また、内腕ダイニンfのATP依存的構造変化を三次元的に解析し、tether complexがダイニンの構造的安定性に寄与することで、モーター活性を制御していることを示した。また、tether complexにより固定された内腕ダイニンfのモータードメインは、微小管の長軸方向ではなく鉛直方向にpower strokeを起こすことを明らかにした。(Kubo et al, Molecular Biology of the Cell, 2018)
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