研究実績の概要 |
1. 内腕ダイニンを制御する新規複合体の発見 繊毛ダイニンの1つである内腕ダイニンfのmotor domainを微小管に固定するtether complexを発見し、それがFAP43/FAP244とFAP44の複合体で構成されること を示した。また、内腕ダイニンfのATP依存的構造変化を三次元的に解析し、tether complexがダイニンの構造的安定性に寄与することで、モーター活性を制御していることを示した。また、tether complexにより固定された内腕ダイニンfのモータードメインは、微小管の長軸方向ではなく鉛直方向にpower strokeを起こす ことを明らかにした。(Kubo et al, Molecular Biology of the Cell, 2018) 2. 外腕ダイニンを制御する新規タンパク質の発見 機能未知の繊毛タンパク質であるFAP70の構造と機能を解析し、それが繊毛ダイニンの1つである外腕ダイニンの活性を制御することを発見した。外腕ダイニン複合体の構成分子は、生化学的にすべて同定されていると考えられてきたが、FAP70は外腕ダイニンとの結合が緩いため、これまで注目されていなかった。今回の発見により、外腕ダイニンの外側基部に新規制御分子が存在していることがわかった。FAP70は単離された外腕ダイニンのモーター活性には関与しないため、繊毛内においてより高次な運動制御に関わっていると考えられる。(Shamoto et al cells 2018)
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