研究課題
若手研究(A)
繊毛は人体において、気道からの異物除去、脳脊髄液の循環、精子の運動など様々な生理現象に関わる重要な運動性細胞小器官である。今回の研究では主に以下の2点の発見があった。1.繊毛の主要構造タンパク質であるチューブリンに負電荷を与える修飾が、繊毛運動を制御していることを明らかにした。2.繊毛に存在する未解析のタンパク質、FAP43, FAP44, FAP244, FAP70の解析を行い、それらが繊毛を動かすモータータンパク質の活性制御を行っていることを明らかにした。
構造生物学
今回の研究により、人体において重要な役割を果たしている繊毛の運動を制御している新しい分子メカニズムが明らかになった。繊毛の機能不全は、胎児期の発生異常や慢性気道感染症、水頭症、不妊などの様々な疾患に関わっている。今回の研究はこれらの繊毛関連疾患の病態理解を深め、疾患の治療の進歩に貢献することが期待される。またチューブリンの修飾に関する発見は繊毛だけでなく、細胞骨格に関わる広範な細胞生物学の理解に貢献した。