今後の研究の推進方策 |
認知学習に伴う脳内糖代謝シグナル活性の質的変化解析 (a)認知学習刺激による脳内糖代謝シグナル活性解析とシナプス可塑性解析 認知学習刺激が脳内糖代謝シグナル活性に与える影響を調べる。受動回避テストによる認知学習に伴うマウス海馬・前頭葉での脳内糖代謝シグナル活性を解析する(認知学習刺激後1, 3, 6, 24時間の海馬・前頭葉を回収)。近年、インスリン受容体が学習刺激に伴いシナプス部位に集積することが報告されており、シナプス部位を含む海馬・前頭葉神経細胞分画での糖代謝シグナルについても活性変化を検討する。認知学習後には、シナプス部位に可塑的変化(シナプス応答性の上昇、AMPA型グルタミン酸受容体の膜表面移行の増加、マッシュルーム型成熟スパインの増加)が生じ、シナプス機能が向上することをすでに見出しており、シナプス機能と海馬・前頭葉糖代謝シグナル活性変化との相関性を解析することにより、認知学習に伴うシナプス可塑性と海馬・前頭葉糖代謝シグナルとの関係性が明らかとなる。 (b)高脂肪食負荷マウスでの認知学習刺激による海馬・前頭葉糖代謝シグナル活性解析とシナプス可塑性解析 認知学習後の野性型と高脂肪食負荷マウスの海馬・前頭葉糖代謝シグナル活性を比較検討する。高脂肪食負荷マウスでは定常時の糖代謝シグナル活性が高いため、認知学習に伴う海馬・前頭葉糖代謝シグナルの活性変化率が低くなると予想される。また上記(a)同様シナプス機能との相関性を解析することにより、糖代謝異常に伴う認知機能障害と脳内糖代謝シグナル活性変動とのシナプス部位における機能的な因果関係が明らかとなる。
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