研究課題
これまで、損傷リソソームの修復がTFEB不全細胞で遅延することを見出していたが、このときオートファジーも働かなくするとこの修復がさらに遅延することを見出した。このことから、オートファジーとTFEBは一部独立してリソソーム修復に寄与することが明らかになった。来年度以降このメカニズムを明らかにしていく予定である。また、これまでの結果から、リソソームに損傷時にTFEBが核移行すること、これがオートファジー制御因子の一部に依存することを見出していた。本年度、オートファジー制御因子のどれがリソソーム損傷時のTFFEB核移行に影響を与えるかを調べるため、当研究室で作出している各種オートファジー不全細胞を用いて詳細に解析を行った。また、リソソーム損傷時のTFEB核移行のメカニズムを調べるために、リソソーム損傷時の野生型と、オートファジー不全細胞それぞれにおいてTFEBに結合するタンパク質をプロテオミクス解析により同定し、これら因子の機能解析を始めている。さらに飢餓時にTFEBの核移行を制御することが知られている、mTORのシグナルがリソソーム損傷時のTFEBの核移行関与するか調べたところ、これらのシグナルは関与していないこと示唆するデータが得られている。また共同研究者からTFEB floxマウスを分与いただき、これを用いて尿酸結晶により腎組織傷害が引き起こされることが知られている急性高尿酸血性腎症モデルマウスの作出を開始しており、これを用いてin vivoにおけるリソソーム損傷に対するTFEBの機能を調べる予定である。
2: おおむね順調に進展している
TFEBインターラクトーム解析が終了し、いくつかの新規候補因子がとられている。またイタリアからTFEB floxマウスが届いたため、in vivoにおける解析を進めるため、掛け合わせを開始している。計画書の通り進めており概ね順調である。
哺乳類培養細胞を用いたTFEBインターラクトーム解析から得られている候補因子のノックダウン、過剰発現、局在解析を中心に、オートファジー制御因子によるTFEBの制御機構を明らかにする。また、TFEB活性化によりどのように損傷リソソームが修復されるかについて調べる。さらに、in vivoでのオートファジー制御因子とTFEBの損傷リソソームに対する役割を調べるため、急性高尿酸血性腎症モデルマウスを用いて解析を行う。具体的には、近位尿細管特異的ATG5およびTFEBノックアウトマウスを用いて、尿酸投与時の腎障害への影響を調べる。
すべて 2018 2017
すべて 雑誌論文 (5件) (うち国際共著 2件、 査読あり 4件、 オープンアクセス 2件) 図書 (2件)
Mol. Cells
巻: 41 ページ: 65-72
https://doi.org/10.14348/molcells.2018.2333
J. Cell Sci.
巻: 130 ページ: 209-1216
https://doi.org/10.1242/jcs.196352.
Nat. Immunol.
巻: 18 ページ: 899-910
https://doi.org/10.1038/ni.3767
Nat. Commun.
巻: 8 ページ: 16308
https://doi.org/10.1038/ncomms16083.
The Word on Digestive Surgery
巻: 18 ページ: 2-3