研究課題/領域番号 |
17H05065
|
研究機関 | 熊本大学 |
研究代表者 |
佐伯 恭範 熊本大学, 生命資源研究・支援センター, 客員准教授 (30794458)
|
研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2020-03-31
|
キーワード | コレステロール / 小胞体 / 細胞膜 / リソソーム / 膜接着部位 / 脂質輸送タンパク質 |
研究実績の概要 |
平成30年度は、細胞内のコレステロール輸送機構に注目し、その分子メカニズムに関して研究を進めた。具体的には、進化学的に保存されたコレステロール輸送タンパク質の一群を欠損させたノックアウト細胞をゲノム編集法を用いて作成し、その表現系解析を行った。その結果、ノックアウト細胞では、 コレステロールの細胞内分布が変化することがわかった。また、これらコレステロール輸送タンパク質の所有する、コレステロール結合ドメインを精製し、リポソームを用いたin vitroの再構築系において、このドメインが、コレステロールを輸送する能力を持つことを示した。他のコレステロール結合ドメインの結晶構造をもとに、このドメインの構造のモデルを作成し、コレステロール結合部位と推測されるアミノ酸塩基に変異を加えたタンパク質を精製し、in vitroの再構築系を用いて活性を調べたところ、大幅なコレステロール輸送能の減少が確認された。さらに、これらコレステロール輸送タンパク質の局在をスピニング共焦点顕微鏡を用いて調べたところ、小胞体-細胞膜接着部位や小胞体-リソソーム接着部位に局在することが確認された。また、論文に関しては、extended シナプトタグミンを含む、SMPドメイン脂質輸送タンパク質ファミリーに関して総説を執筆し、連絡先著者として発表することが出来た(Biochim Biophys Acta Mol Cell Biol Lipids. 2019 Apr 16: PMID: 31002947)。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
平成30年度の主な目標として、細胞内のコレステロール輸送機構に関しての研究を推し進めていくことを挙げていたが、遺伝子改変技術を活用した表現系解析およびin vitroの再構築実験に進展があり、おおむね目標を達成出来たと考えている。
|
今後の研究の推進方策 |
令和元年度は、細胞内コレステロール輸送メカニズムに関する研究を、さらに推し進めていきたいと思っている。熊本大学・生命資源研究・支援センターの先生方との共同研究をさらに発展させ、令和元年度以降にもつながる研究を行なっていきたいと考えている。
|