研究課題
H31年度はこれまでの研究方針を継続して申請者らが同定した骨髄巨核球造血微小環境を構成するPDPN陽性細網細胞(BM FRC-like cellとして報告)の細胞学的特性解析を行った。骨格系幹細胞 (SSC) は2015年にマウス (Chan et al. 2015 Cell)、2018年にヒト (Chan et al. 2018. Cell)で同定された、骨格系 (骨・軟骨) および間質系 (脂肪・間質) 分化に特化した体性幹細胞である。SSCのPDPN発現はヒトSSCで陽性が明らかだが、マウスSSCについては不明だった。申請者はマウスSSC系譜の一部にPDPN陽性細胞が存在することを発見し、さらに培養でPDPN陽性SSC系譜細胞を増殖・維持できることを明らかにした。さらに、申請者はマウスSSC由来前駆細胞が血管内皮細胞との共培養でPDPN発現を維持したまま血管周皮細胞としてふるまうことを発見した。これらの知見は、PDPN陽性細網細胞の起源体性幹細胞がSSCであることを強く示唆するものであった。また、primary SSC-lineageおよびin vitroでexpandしたSSC由来前駆細胞の間葉系マーカーを検討し、SSC系譜内およびSSC由来PDPN陽性細胞について間質細胞特異的Cre発現の分子の絞り込みができた。また、これまでに報告されている骨髄間質細胞の代表的分子マーカーとの比較検討を行い、PDPN陽性細網細胞の細胞学的特性を明らかにした。
2: おおむね順調に進展している
PDPN陽性細網細胞の起源体性幹細胞の候補細胞を見出すことができ、さらにCre-loxPシステム標識に用いる候補分子の絞り込みができた。当初計画の目的に沿って研究が進められていることから、概ね順調に進展していると評価する。
PDPN陽性細網細胞の細胞学的特性についてより詳細な検討を進めるとともに、造血幹細胞の維持や巨核球系細胞の造血制御機能に関する解析を開始する。さらに、in vivoにおけるPDPN陽性細網細胞の局在の変遷についての解析にも着手し、in vivo, in vitroの双方向から多角的にPDPN陽性細網細胞が形成する骨髄微小環境の解析を行う。
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すべて 雑誌論文 (6件) (うち査読あり 6件、 オープンアクセス 1件) 学会発表 (12件) (うち国際学会 4件、 招待講演 1件) 備考 (1件)
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