ABO遺伝子の転写調節機構の完全解明を図るため、クロマチン構造変化によるABO遺伝子転写調節の研究を行った。ABO遺伝子のCRISPR/Casシステムを用い、血球細胞、上皮細胞においてインシュレーターやエンハンサーを欠失させた細胞株を作製し、RNAシークエンス法およびリアルタイムPCRで遺伝子発現を調べた。胃癌細胞KATOIII細胞を用いた上皮細胞エンハンサー欠失細胞においてABO遺伝子の転写が低下し、ABO遺伝子下流に存在するOBP2B遺伝子の発現が約1/10に低下した。以上から、ABO遺伝子はエンハンサーの共有、染色体の高次構造を介し遺伝子の発現調節を受けることがわかった。
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