研究課題
本研究計画では、アルツハイマー病が進行するメカニズムの解明を「タウ病理の神経細胞間伝播」という現象に着目して進めている。申請者は既にアルツハイマー病の進行に関与する特殊なタウ蛋白を同定しており、この知見をもとに全研究期間内で以下の①-⑤の実験計画が進行中である。①タウの神経細胞間伝播の分子メカニズムの解明、②タウの神経細胞間伝播を修飾する因子の探索・同定、③免疫療法への応用へ向けた病的伝播タウの標的エピトープの同定、④タウ病理の進行過程を反映する病態バイオマーカーの探索、⑤糖尿病がタウ伝播に与える影響の評価。令2元年度は、それぞれの項目に関して以下の研究内容を実行した。①タウの神経細胞間伝播の分子メカニズムの解明:タウ細胞間伝播のハイスループット評価系を利用し、タウ伝播に重要なリン酸化部位の同定を行う。また、そのリン酸化を介在するキナーゼの探索・同定を行う。②タウの神経細胞間伝播を修飾(促進/抑制)する因子の探索・同定:上記のin vitro評価系を用い、施設所有のコンパウンドライブラリーを利用することでタウ伝播を修飾する因子を同定する。③免疫療法への応用へ向けた病的伝播タウの標的エピトープの同定と特異抗体の作製・選定・薬効評価:昨年度までに免疫療法の標的として有望なエピトープを3つ同定した。これに対するワクチン療法の効果をマウスモデルを用いて行う。④タウ病理の進行過程を反映する病態バイオマーカーの探索:マウス脳脊髄液を覚醒下で持続的に回収するための新規手法の論文化を行う。ヒト患者の脳脊髄液を用いて、病的伝播タウの測定と臨床データとの照合を行い、脳脊髄液中の病的伝播タウの病態バイオマーカーとしての意義を明らかにする。⑤糖尿病がタウ病理の神経細胞間伝播に与える影響の評価:糖尿病病態がタウの生化学的特徴に与える影響や、神経細胞のタウ取り込み過程に与える影響を明らかにする。
令和2年度が最終年度であるため、記入しない。
すべて 2021 2020 その他
すべて 雑誌論文 (7件) (うち国際共著 1件、 査読あり 3件、 オープンアクセス 2件) 学会発表 (18件) (うち招待講演 7件) 備考 (1件)
『日本内科学会雑誌』
巻: 110巻 3号 ページ: p636-642
Cell
巻: 183(6) ページ: 1699-1713
10.1016/j.cell.2020.10.029
FASEB J.
巻: 34 ページ: 2425-2435
10.1096/fj.201901028RR
『医学のあゆみ』
巻: Vol.273 No.1 ページ: p23-27
Editorial, Vas-Cog Journal
巻: No.6 ページ: p3
『日本臨牀』
巻: 78巻 増刊号1、V. 10. ページ: p315-319
『老年内科』
巻: Vol.2 No.3(通巻9号) ページ: p328-334
http://www.cgt.med.osaka-u.ac.jp/cont/norm04_l_420.html