本研究は心筋の細胞周期調節における低酸素シグナルの役割を明らかにすることを目的とし,第一に,哺乳類での出生後の心筋細胞の増殖能喪失におけるミトコンドリア代謝の役割について解析を行った.その結果,マウス培養心筋細胞に加えて新生児・成体心筋細胞,そしてヒトiPS細胞由来心筋細胞において,代謝制御因子の遺伝学的・薬理学的阻害により心筋細胞増殖を誘導できることを示した.第二に,増殖能を保った心筋細胞での低酸素シグナルの機能について検討するため,コンディショナルノックアウト・ノックインマウスを使った解析を行い,成体での心筋細胞増殖において低酸素シグナルおよび酸化ストレス除去が重要であることを明らかにした
|