研究課題
造血幹細胞は骨髄中のニッチという微小環境ににおいて休眠状態で存在し、対称分裂と非対称分裂を行いながら血液前駆細胞を生体内に供給していると考えられている。造血幹細胞を用いた臨床応用は歴史が古いく、再生医療の先駆けでもある。しかし、造血幹細胞はES,iPS細胞のように半永久的に未分化性を維持したままin vitroの条件下で培養することは困難である。そのため、ドナーにおける負担が必要不可欠な状況である。申請者は約5年前より造血幹細胞そのものではなく、造血幹細胞が存在する骨髄微小環境を構築している細胞を同定することによりin vitroによる造血幹細胞の培養法を確立出来るのではないかと考え、研究を続けてきた。申請者は極わずな細胞数しか分離できない造血幹細胞を対象とした細胞内のタンパク質の局在やリン酸化を定量的に解析する技術を開発することにより、骨髄中に存在する造血幹細胞の休眠状態を分子レベルで定義づけた。次に申請者はこの技術を利用して、骨髄中おいて造血幹細胞を休眠状態に誘導するタンパク質がTGF-bであることを明らかにした。近年においては、骨髄中には特有のアミノ酸バランスが存在しており、バリンの濃度が著しく減少することで造血幹細胞の機能が低下すること、またトリプトファンの濃度が減少した場合は造血幹細胞の骨髄再建能が上昇することを明確に示した。また、骨髄組織全ての構造を3次元にて解析する技術を開発することで造血幹細胞の微小環境を詳細かつ定量的に同定することにも成功している。これらの基礎的なデータから、申請者がこれまで報告してきた知見と経験を基に、骨髄微小環境における造血幹細胞の時間的動態を解析することで、複雑に入り組んだ造血幹細胞ニッチ細胞とその構造を明らかにし、in vitroにおける造血幹細胞の未分化性を保つ培養方法の確立を目指す足がかりにする基盤構築を目指した。
令和元年度が最終年度であるため、記入しない。
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