研究課題
本年度は、カニクイザルを用いて安定した子宮同種移植モデルの作製を確立させ、子宮の免疫応答および組織適合性を解明することを目指し、カニクイザルを用いて1件の子宮同種移植実験を行った。プールされたMHC解析済みのカニクイザルの中から、同型の血液型の個体ならびにMHCミスマッチのペアを選出し、クロスマッチを行い陰性を確認したレシピエントおよびドナーを用いた。手術方法は、より安定した術式を確立するために、より太く長い血管柄を摘出できる脳死ドナーを想定した術式が適していると判断し、ドナーの大動脈および下大静脈をレシピエントの大動脈および下大静脈に各々端側吻合することとした。ドナー手術時間はそれぞれ8時間26分、7時間51分、レシピエント手術時間は5時間51分、8時間09分であり、周術期合併症は見られなかった。術後は同プロトコールの免疫抑制剤を投与し、定期的に子宮頸部生検を行い、我々が既に確立した拒絶反応基準をもとに、拒絶反応の診断を行った。術後1ヶ月後より周期的な月経が回復したが、術後半年後に生検にて液性拒絶を認め(抗ドナー抗体陽性)、ステロイドパルス療法、リツキシマブ投与を行い、現在加療中である。また、以前に子宮同種移植を行ったカニクイザルに対して経卵管的胚移植を行ったところ、エコーにて妊娠陽性を確認した。
3: やや遅れている
予定では3件の子宮同種移植実験を行う予定であったが、1件にとどまった。
カニクイザルにおける子宮同種移植モデルの追加作製に努める。また、実施施設内での指針作成および倫理申請書類を作成する。また関連学会や厚労省へ実施の可能性について働きかけていく。
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