研究課題/領域番号 |
17H06089
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研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
藤澤 彰英 九州大学, 応用力学研究所, 教授 (60222262)
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研究分担者 |
井戸 毅 核融合科学研究所, ヘリカル研究部, 准教授 (50332185)
稲垣 滋 九州大学, 応用力学研究所, 教授 (60300729)
飯尾 俊二 東京工業大学, 科学技術創成研究院, 教授 (90272723)
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研究期間 (年度) |
2017-04-25 – 2022-03-31
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キーワード | プラズマ乱流 / 対称性の破れ / 大域性 / トモグラフィー / 重イオンビームプローブ |
研究実績の概要 |
本課題の主題であるプラズマ乱流観測装置PLATO装置の製作については、本平成30年度の予算(繰越あり)にて、プラズマ生成部のコイル部およびトロイダル電源を完成させた。令和元年11月には真空容器、コイル、架台を合わせてPLATO装置が無事組み上がっている。PLATO装置の主体となる観測機、乱流トモグラフィー については、その概念設計が終了している。重イオンビームプローブに関しても設計が終了し、装置の政策へと取り掛かった。令和2年現在では、PLATO装置コイルと電源との結線も終了している。支援研究PANTAでは直線プラズマ乱流実験およびPLATOでの乱流トモグラフィーの開発を実施している。乱流実験では、Streamerと呼ばれる現象の物理的理解が進展した。例えば、Streamerの磁力線方向の構造、Streamer(および対をなすMediator)のソリトン性が明らかになった(F. Kin et al. Phys. Plasmas 2018)。またstreamerに伴う輸送の弾道性について言及した論文が受理されている(F. Kin et al. Phys. Plasmas in press)。トモグラフィーは、3台のシステムが異なる磁力線の位置に設置され準3次元的な観測が開始されている。このデータを用いて乱流画像解析法の開発を行なっている。例えば、Fourier-Bessel展開法における基底の選択法(K. Yamasaki et al., Rev.Sci.Instrum. 2017)、またリアルタイムモニターを視野に入れた高速アルゴリズムの開発(K. Yamasaki et al., Plasma Fus. Res. 2017)など論文となっている。また、平成29-30年度の間、理論シミュレーションについても多くの成果が上がっている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
平成29年度のPLATO装置設計の詳細検討や業者選定、電源方式の変更などによって製作開始が遅れ、また経費が高騰を余儀なくされた。しかし、経費としては、トモグラフィーシステムの低コスト化によって大きな支障を生じていない。また時間的には、真空容器や電源の再検討により、PLATOの組み上げが申請書に書かれた予定に対して半年程度遅くなったが、より優れた装置が製作されている。令和元年度には、プラズマ乱流観測装置PLATOのプラズマ生成部のコイル部およびトロイダル電源が完成し、令和元年11月には真空容器、コイル、架台を合わせてPLATO装置が組み上がった。その間、制御系などを整備することで、実質的に観測に到るまでの遅れはかなり低減できているまた、PLATO装置の主体となる観測器、乱流トモグラフィー と重イオンビームプローブについては、令和元年時点で概念設計が終了し、現在順調に製作が進行している。本課題遂行の全体像からすると、目的達成に対しては実質的な遅れはない。順調に進展していると言って良い。
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今後の研究の推進方策 |
PLATO装置は基礎研究を志向する装置で、極めて高い近接性、プラズマ形状の可変性、最先端乱流計測装置の装備しており、本課題ではいまだ世界に類を見ない最先端観測を実現することを目的とする。この目的に即して、第一にPLATO装置において観測対象となる乱流プラズマの生成を令和元年度3月までに達成し、トモグラフィー(Hα線) による乱流プラズマの観測を令和2年度中に実現する。その後、プラズマ乱流場の世界初のトモグラフィー による2次元計測と重イオンビームプローブに よる(離れた)2領域の観測により乱流場の対称性の破れと大域性を主題として研究を進めてゆく。一方、支援実験装置PANTAではPLATO装置のために製作したトモグラフィー システムが3台稼働を始めている。この観測装置を利用して準3次元的乱流場の計測を直線磁化プラズマにて実施する。3次元トモグラフィー を用いて、2(あるいは3)次元乱流データ解析法を開発するとともに、直線プラズマに見られるプラズマ乱流の基礎過程を探求する。理論シミュレーションとの連携をさらに強化して、乱流プラズマと共通に見 られる天体や宇宙で起こる現象、例えば、ダイナモ、ジェット気流、乱流降着円盤中の異常輸送、太陽内部の速度不連続面の起源などに理解にも貢献すべく研究 を進めてゆく。
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