研究課題/領域番号 |
17H06103
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研究機関 | 国立情報学研究所 |
研究代表者 |
佐藤 健 国立情報学研究所, 情報学プリンシプル研究系, 教授 (00271635)
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研究分担者 |
本村 陽一 国立研究開発法人産業技術総合研究所, 情報・人間工学領域, 首席研究員 (30358171)
狩野 芳伸 静岡大学, 情報学部, 准教授 (20506729)
高橋 和子 関西学院大学, 理工学部, 教授 (30330400)
西貝 小名都 首都大学東京, 法学政治学研究科, 准教授 (20580400) [辞退]
太田 勝造 東京大学, 大学院法学政治学研究科(法学部), 教授 (40152136)
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研究期間 (年度) |
2017-05-31 – 2022-03-31
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キーワード | 法的推論 / あてはめ / 事実認定 / 判決推論 / 要件事実論 / 論理プログラミング |
研究実績の概要 |
本研究の目的以下である。裁判過程の3つの過程(事実認定過程、あてはめ過程、判決推論過程)について、それぞれ、(1)ベイジアンネットワークに基づいた証拠推論を用いた事実認定過程支援システム(2)自然言語処理に基づいたあてはめルールの獲得によるあてはめ過程支援システム(3)既開発の民法要件事実推論システムPROLEG を拡張し、刑事裁判や行政裁判へも応用できる判決推論過程支援システムを開発する。また、各過程の争点の議論学(argumentation theory) に基づく議論解析支援システムを開発する。さらに法学者から、このような支援システムをいかに裁判上に導入することができるかを検討する。平成30年度においては、以下の活動を行った。事実認定過程支援グループでは、裁判の事例よりも多数の電子データがインターネット上で収集できる対象として親権を争点とした離婚事例を選び、事例データベースを作成した。あてはめ過程支援グループでは、当初より対象とする民法が、出現しうる概念の種類が幅広く、概念間の関係性を把握するため、構造化辞書を作成した。判決過程支援グループにおいては、法的推論の基礎となる、義務論理の解析を行った。そのため、本研究の海外連携研究者であり、論理プログラミングの創始者であるRobert Kowalskiと共同研究を行い、論理プログラミングに基づく義務論理の定式化を行った。また、議論解析支援グループでは、法律の構造や裁判の判決過程を明確にするために、双極議論フレームワーク(BAF)を用いた法律推論手法として、PROLEGの記述から BAF への変換手法およびBAF の上での推論手法として、現在判明している事実から得られる結論と結論を得るために証明すべき事実をともに推論する2つの併用を提案した。法学者グループは、支援システムの裁判上への導入についての問題点について調査を行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
平成30年度は、各研究グループにおいて、必要な技術について検討を進めており、必要な技術の開発は進んでいる。以上より、おおむね順調に進展しているといえる。
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今後の研究の推進方策 |
引き続き、裁判上の支援システムの問題点の把握をさらに進めるとともに、その問題点を解決するための技術的検討を行う。事実認定支援グループにおいては、どのようにベイジアンネットワークを証拠推論に応用するのかの検討を進める。あてはめ支援グループにおいては、自然言語処理を用いて法律文書から知識をどのように抽出するかについて検討を行う。判決推論グループにおいては、刑法へのPROLEG拡張についての検討を続ける。議論解析支援グループでは、裁判における議論過程についての支援について検討する。法学者グループは、社会的調査等をより広範囲に行い、人工知能による裁判支援についての受容性について調査を行う。
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