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2020 年度 実績報告書

血液脳関門通過性ヘテロ核酸の開発

研究課題

研究課題/領域番号 17H06109
研究機関東京医科歯科大学

研究代表者

横田 隆徳  東京医科歯科大学, 大学院医歯学総合研究科, 教授 (90231688)

研究分担者 津本 浩平  東京大学, 大学院工学系研究科(工学部), 教授 (90271866)
永田 哲也  東京医科歯科大学, 大学院医歯学総合研究科, プロジェクト准教授 (50362976)
宮田 完二郎  東京大学, 大学院工学系研究科(工学部), 准教授 (50436523)
研究期間 (年度) 2017-05-31 – 2022-03-31
キーワード血液脳関門 / グルコーストランスポーター / トランスフェリン受容体 / 神経変性疾患 / ヘテロ核酸
研究実績の概要

Glut familyの抗体に対して、取得に困難を極めており、細胞外領域を標的として特殊な方法で、新たに抗体の取得を試みた。これによりGlut4に対して、まず抗体の取得に成功した。得られた抗体について、組み換えタンパク質を用いた評価によって抗原への結合を確認したのに加え、細胞を用いた結合活性評価を行い、細胞上で標的となる受容体を認識することが確認された。Glut1に関して、同様の方法を試すのと並行して、類似タンパク質との比較から定義されてきた細胞外/細胞内に位置する領域について、本研究によって2種類のC末端領域を認識する抗体を作製した。これらはFlow cytometryによる解析の結果、細胞上での抗原結合が確認された。これによりGlut1が従来の想定とは異なる向きでも細胞膜上に発現していることが示唆された。Glut1/4の高次構造の関係で取得がこれまで困難であることから血液脳関門に発現しているLDLが介する受容体に新たに注目した。Phosphoethanolamine (PE)は直接的および間接的にLDLの取り込みの際に、一緒に取り込まれることが知られている。またこれらはGlut1のように、グルコース標的リガンドのように、食事への影響が少ないことが考えられる。そこで各種PEとその誘導体を中心に合成して、ヘテロ核酸に結合させ全身投与にて、その遺伝子抑制効果を検討した。従来報告されているように現在の核酸医薬は(アンチセンス核酸やsiRNA)は全身投与で脳内の遺伝子抑制効果を示さない。今回の結果でも1本鎖アンチセンスでは全身投与で脳内に移行しないために遺伝子抑制効果を示さなかった。一方で各種PEでは脳内での遺伝子抑制効果を確認できた。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

3: やや遅れている

理由

当初、Glut1の細胞外領域に相当するペプチド断片を用いた免疫によりGlut1抗体の取得を試みたが、有意な脳移行性が確認されなかった。またラットでin vivoで発現させた(筋肉発現)Glut1に対する抗体も取得したが、細胞上では反応するが、脳内では移行が見られなかった。その要因として、抗体が認識するエピトープが適切でない可能性や翻訳後修飾の影響が考えられた。そこで新たの方法での取得を試みる。

今後の研究の推進方策

従来とは全く別のエピトープを標的として特殊な方法で、新たにGlut1抗体の取得を試みる。加えて脳内移行が知られているトランスフェリンレセプターに対する抗体の作製についても検討する。加えて同じくLDL受容体に対して結合するリガンドに関しては安全性について検討する。

  • 研究成果

    (10件)

すべて 2021 2020

すべて 雑誌論文 (4件) (うち国際共著 1件、 査読あり 4件、 オープンアクセス 4件) 学会発表 (6件) (うち招待講演 4件)

  • [雑誌論文] Efficient Gene Suppression by DNA/DNA Double-Stranded Oligonucleotide In?Vivo2021

    • 著者名/発表者名
      Asami Yutaro、Nagata Tetsuya、Yoshioka Kotaro、Kunieda Taiki、Yoshida-Tanaka Kie、Bennett C. Frank、Seth Punit P.、Yokota Takanori
    • 雑誌名

      Molecular Therapy

      巻: 29 ページ: 838~847

    • DOI

      10.1016/j.ymthe.2020.10.017

    • 査読あり / オープンアクセス / 国際共著
  • [雑誌論文] Separation-related rapid nuclear transport of DNA/RNA heteroduplex oligonucleotide: unveiling distinctive intracellular trafficking2021

    • 著者名/発表者名
      Ono Daisuke、Asada Ken、Yui Daishi、Sakaue Fumika、Yoshioka Kotaro、Nagata Tetsuya、Yokota Takanori
    • 雑誌名

      Molecular Therapy - Nucleic Acids

      巻: 23 ページ: 1360~1370

    • DOI

      10.1016/j.omtn.2020.11.022

    • 査読あり / オープンアクセス
  • [雑誌論文] Structural basis for antigen recognition by methylated lysine?specific antibodies2021

    • 著者名/発表者名
      Ishii Misaki、Nakakido Makoto、Caaveiro Jose M.M.、Kuroda Daisuke、Okumura C.J.、Maruyama Toshiaki、Entzminger Kevin、Tsumoto Kouhei
    • 雑誌名

      Journal of Biological Chemistry

      巻: 296 ページ: 100176~100176

    • DOI

      10.1074/jbc.RA120.015996

    • 査読あり / オープンアクセス
  • [雑誌論文] Epitope-dependent thermodynamic signature of single-domain antibodies against hen egg lysozyme2021

    • 著者名/発表者名
      Akiba Hiroki、Tamura Hiroko、Caaveiro Jose M M、Tsumoto Kouhei
    • 雑誌名

      The Journal of Biochemistry

      巻: 170 ページ: 623~629

    • DOI

      10.1093/jb/mvab082

    • 査読あり / オープンアクセス
  • [学会発表] 膜蛋白質の膜外領域を認識する抗体の取得2020

    • 著者名/発表者名
      住川 太一、中木戸 誠、黒田 大祐、津本 浩平
    • 学会等名
      第21回 日本蛋白質科学会年会
  • [学会発表] 中枢神経疾患に対する核酸医薬2020

    • 著者名/発表者名
      横田隆徳
    • 学会等名
      第39回日本認知症学会学術集会
    • 招待講演
  • [学会発表] 分子動力学シミュレーションを用いたCDR-Graftingによる合成VHHにおける分子挙動の解析2020

    • 著者名/発表者名
      木下 清晶、中木戸 誠、黒田 大祐、カアベイロ ホセ、津本 浩平
    • 学会等名
      第58回 日本生物物理学会年会
  • [学会発表] 中枢神経疾患に対する核酸医薬2020

    • 著者名/発表者名
      横田隆徳
    • 学会等名
      39回日本認知症学会学術集会
    • 招待講演
  • [学会発表] 核酸医薬の現状と今後の展望2020

    • 著者名/発表者名
      横田隆徳
    • 学会等名
      日本人類遺伝学会第65回大会
    • 招待講演
  • [学会発表] ついに実現した核酸医薬2020

    • 著者名/発表者名
      横田隆徳
    • 学会等名
      高分子学会 第69回高分子討論会
    • 招待講演

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公開日: 2024-12-25  

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