研究課題
本研究は、強力な生物活性を有する巨大複雑天然物の構造と機能をモチーフとした、全合成から人工分子創製・活性評価・応用までを研究課題としている。実現すべき項目としては、①テルペン系・核酸系巨大複雑天然物の全合成、②ペプチド系巨大複雑天然物の固相全合成、③テルペン系・核酸系天然物の類縁体網羅的創出、④ペプチド系天然物の類縁体網羅的創出および⑤合成分子群の構造・機能解析と活性発現要件の解明・応用があげられる。項目②はすでに達成している。2021年度は、項目①③④⑤において、顕著の成果を得た。①立体選択的なC-CおよびC-O結合形成を駆使することで、骨格構築と9個の酸素官能基導入を実現し、オイオニミノールオクタアセテート(P糖タンパク質阻害活性)を不斉全合成した。さらに含ピリジンマクロ環の新規構築法を確立し、オイオニミン(抗HIV活性)の世界初の全合成を達成した。③クロトホルボロン、プロストラチン(抗HIV活性)、レジニフェラトキシンおよびチニアトキシン(鎮痛活性)は、共通した5/7/6員環を有するテルペン系天然物である。我々は、ラジカル環化反応を組み込むことで、4個の天然類縁体の網羅的全合成を短工程(16-20工程)で達成した。④ヤクアミドB (抗がん活性)に対してOBOC戦略を応用することで、1000個を超える人工類縁体の網羅的創出と評価を実現し、ヒトがん細胞株に対して強力な細胞増殖抑制活性を示す複数の類縁体を発見した。⑤ライソシンE (抗菌活性)が、黄色ブドウ球菌感染マウスの治療効果を示すメカニズムとして、宿主因子であるアポリポプロテインA-Iが関与することを初めて解明した。また、金ナノ粒子上に高密度に配した求電子基との高効率・高選択的な架橋反応を利用した生物活性物質の結合タンパク質解析法を開発し、巨大複雑天然物の標的タンパク質の迅速な探索同定に新たな方法を提供した。
令和3年度が最終年度であるため、記入しない。
長友優典 東京大学卓越研究員・伊藤寛晃 天然物化学談話会奨励賞T. ShimakawaおよびA. Watanabe, PACIFICHEM 2021, Student Poster Competition Award鴨下潮音, GlycoTOKYO, ポスター賞・渡辺崇央, 複素環化学討論会, 優秀発表賞・高岡恭兵, 日本薬学会関東支部大会, 優秀口頭発表賞・渡邉歩, 次世代シンポ, 優秀発表賞
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すべて 雑誌論文 (12件) (うち査読あり 12件、 オープンアクセス 2件) 学会発表 (42件) (うち国際学会 15件、 招待講演 9件) 備考 (5件)
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