研究課題
スピン状態トモグラフィー測定や光子対からスピン対へのもつれ変換の実験では、光子から電子スピン変換効率は極めて重要である。そのため、量子ドットの直上に金属同心円リングで構成される表面プラズモンアンテナを取り付け、垂直に入射した光を表面プラズモンポラリトンモードにより同心円の中央に集中し、量子ドットへの照射効率の改善を試みた。その結果、従来の素子に比べ5~9倍程度増大することを明らかにした。これは光子対からスピン対へのもつれ変換の実証実験の成功確率を大幅に高める成果である。また当初計画になかった成果として、機械学習やスピン―電荷変換の動的制御を用いることで高精度なスピン検出を実現し、光子―スピン変換の実験を高精度に行う基盤技術を得た。昨年度、エレクトロルミネッセンスの観測に成功した量子ドットが導入できる平面pn接合において、本年度は、0.3Kでのp型、n型それぞれのキャリアを同時に誘起できるホールバー試料を作製し、それぞれの2次元伝導の特性を評価した。どちらも量子ドット構造を導入するに足る高移動度を得ることが示された。空乏化したi領域に横型量子ドット構造を配置する設計も行い、スピンから光子への量子状態変換のプラットフォームを実現した。Geスピンバルブ素子を用いて円偏光照射に対してスピン蓄積状態の変化を反映したスピン信号の変化を観測するため、チャネル層n-Ge上のホイスラー合金上のCoPd多層膜により垂直磁化を実現し、面直方向から円偏光照射が可能な横型スピンバルブ素子の評価を行った。スピン信号から面内磁化成分の存在が明らかになり、垂直磁化の改善が必要であることが分かった。関連して当初計画にはなかったがGe量子ドット形成にも取り組み、その動作を実現できた。今後は、スピンバルブの円偏光照射で得られるスピン選択励起の知見から、Ge正孔量子ドットでの量子状態変換を検証する。
令和3年度が最終年度であるため、記入しない。
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すべて 国際共同研究 (3件) 雑誌論文 (7件) (うち国際共著 4件、 査読あり 7件、 オープンアクセス 1件) 学会発表 (19件) (うち国際学会 4件、 招待講演 4件) 備考 (2件) 学会・シンポジウム開催 (1件)
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