重力波観測時代に臨む較正標準化とデータ解析高精度化

2021 年度 実績報告書

• 研究課題/領域番号: 17H06133
• 研究機関: 大阪市立大学
• 研究代表者: 神田 展行 大阪市立大学, 大学院理学研究科, 教授 (50251484)
• 研究分担者: 都丸 隆行 国立天文台, 重力波プロジェクト, 教授 (80391712)
• 研究期間 (年度): 2017-05-31 – 2022-03-31
• キーワード: 重力波観測 / 相対性理論 / データ解析 / レーザー干渉計 / 宇宙物理学

研究実績の概要

重力波観測において不可欠である、時空の歪みを正確に求める較正についての研究を推進した。日本のKAGRA実験においてレーザー光の輻射圧を用いた鏡の変位を励起する「フォトンキャリブレーター」を構築した。較正用レーザー強度を米国LIGOと協力して相対較正を達成した。また較正ハードウエアの不定性を1~2%程度まで抑えた。2020年の第3次国際共同観測において得られたKAGRAの較正データを、オフラインでより高精度に較正して30-1500Hzを対象として再生成した。その精度は低周波では5%,高周波では10%程度(1σ)の誤差に収まっている。これらにより本研究の目標の一つである、重力波検出器の精度の高い較正、系統誤差の低減と見積を達成した。
また、国際重力波観測網との連携を深め、KAGRAにおいて米国LIGO、欧州Virgoと数秒~１０秒程度のリアルタイムで観測データ共有を実装した。これにより国際重力波観測網に貢献した。本研究で構築した大阪市立大学の計算機クラスターにも実装して常時稼働させ、国際重力波観測網の低遅延・リアルタイムでのデータ利用を前提で研究が進んだ。
較正データを利用した重力波のイベント解析研究では、KAGRA稼働時の重力波方向決定精度についての研究や、連星合体重力波イベントの質量決定を利用して種族III星起源かどうかを尤度比検定で解析するという成果があった。さらに特に、時間-周波数平面に着目した研究では、ヒルベルト＝ファン変換を用いた超新星爆発時の重力波に定在降着衝撃波不安定性の形跡を評価、ラプラス変換を用いた新しい時間ー周波数領域解析の開発が進んだ。

現在までの達成度 (段落)

令和3年度が最終年度であるため、記入しない。

今後の研究の推進方策

令和3年度が最終年度であるため、記入しない。

研究成果

• [国際共同研究] LIGO collaboration/カリフォルニア工科大学/マサチューセッツ工科大学(米国)
  • 国名: 米国
  • 外国機関名: LIGO collaboration/カリフォルニア工科大学/マサチューセッツ工科大学
• [国際共同研究] Virgo collaboration/ローマ大学(イタリア)
  • 国名: イタリア
  • 外国機関名: Virgo collaboration/ローマ大学
• [国際共同研究] マックス=プランク研究所(ドイツ)
  • 国名: ドイツ
  • 外国機関名: マックス=プランク研究所
• [国際共同研究] 台湾中央研究院/台湾中央大学(台湾)
  • 国名: その他の国・地域
  • 外国機関名: 台湾中央研究院/台湾中央大学
• [雑誌論文] Constraints on dark photon dark matter using data from LIGO’s and Virgo’s third observing run (2022)
  • 著者名/発表者名: R. Abbott et al. (The LIGO Scientific Collaboration, the Virgo Collaboration, and the KAGRA Collaboration),
  • 雑誌名: Physical Review D 巻: 105 ページ: 063030
  • DOI: 10.1103/PhysRevD.105.063030
  • 査読あり / 国際共著
• [雑誌論文] All-sky search for short gravitational-wave bursts in the third Advanced LIGO and Advanced Virgo run (2021)
  • 著者名/発表者名: R. Abbott et al. (The LIGO Scientific Collaboration, the Virgo Collaboration, and the KAGRA Collaboration),
  • 雑誌名: Physical Review D 巻: 104 ページ: 122004
  • DOI: 10.1103/PhysRevD.104.122004
  • 査読あり / 国際共著
• [雑誌論文] Constraints from LIGO O3 Data on Gravitational-wave Emission Due to R-modes in the Glitching Pulsar PSR J0537?6910 (2021)
  • 著者名/発表者名: R. Abbott et al. (The LIGO Scientific Collaboration, the Virgo Collaboration, and the KAGRA Collaboration),
  • 雑誌名: The Astrophysical Journal 巻: 922 ページ: 71～71
  • DOI: 10.3847/1538-4357/ac0d52
  • 査読あり / 国際共著
• [雑誌論文] Searches for Continuous Gravitational Waves from Young Supernova Remnants in the Early Third Observing Run of Advanced LIGO and Virgo (2021)
  • 著者名/発表者名: R. Abbott et al. (The LIGO Scientific Collaboration, the Virgo Collaboration, and the KAGRA Collaboration),
  • 雑誌名: The Astrophysical Journal 巻: 921 ページ: 80～80
  • DOI: 10.3847/1538-4357/ac17ea
  • 査読あり / 国際共著
• [雑誌論文] All-sky search for long-duration gravitational-wave bursts in the third Advanced LIGO and Advanced Virgo run (2021)
  • 著者名/発表者名: R. Abbott et al. (The LIGO Scientific Collaboration, the Virgo Collaboration, and the KAGRA Collaboration),
  • 雑誌名: Physical Review D 巻: 104 ページ: 102001
  • DOI: 10.1103/PhysRevD.104.102001
  • 査読あり / 国際共著
• [雑誌論文] Application of the Hilbert-Huang transform for analyzing standing-accretion-shock-instability induced gravitational waves in a core-collapse supernova (2021)
  • 著者名/発表者名: Takeda M.、Hiranuma Y.、Kanda N.、Kotake K.、Kuroda T.、Negishi R.、Oohara K.、Sakai K.、Sakai Y.、Sawada T.、Takahashi H.、Tsuchida S.、Watanabe Y.、Yokozawa T.
  • 雑誌名: Physical Review D 巻: 104 ページ: 084063
  • DOI: 10.1103/PhysRevD.104.084063
  • 査読あり / 国際共著
• [雑誌論文] All-sky search for continuous gravitational waves from isolated neutron stars in the early O3 LIGO data (2021)
  • 著者名/発表者名: R. Abbott et al. (The LIGO Scientific Collaboration, the Virgo Collaboration, and the KAGRA Collaboration),
  • 雑誌名: Physical Review D 巻: 104 ページ: 082004
  • DOI: 10.1103/PhysRevD.104.082004
  • 査読あり / 国際共著
• [雑誌論文] Observation of Gravitational Waves from Two Neutron Star-Black Hole Coalescences (2021)
  • 著者名/発表者名: R. Abbott et al. (The LIGO Scientific Collaboration, the Virgo Collaboration, and the KAGRA Collaboration),
  • 雑誌名: The Astrophysical Journal Letters 巻: 915 ページ: L5～L5
  • DOI: 10.3847/2041-8213/ac082e
  • 査読あり / 国際共著
• [雑誌論文] Radiative Cooling of the Thermally Isolated System in KAGRA Gravitational Wave Telescope (2021)
  • 著者名/発表者名: R. Abbott et al. (The LIGO Scientific Collaboration, the Virgo Collaboration, and the KAGRA Collaboration),
  • 雑誌名: Journal of Physics: Conference Series 巻: 1857 ページ: 012002～012002
  • DOI: 10.1088/1742-6596/1857/1/012002
  • 査読あり / オープンアクセス / 国際共著
• [学会発表] 重力波望遠鏡KAGRAのための 較正手法の開発, (2022)
  • 著者名/発表者名: Dan Chen, KAGRA collaboration,
  • 学会等名: 物理学会 2022年 春季大会
• [学会発表] 短時間ラプラス変換を用いた重力波信号のパラメータ抽出 (2022)
  • 著者名/発表者名: 土田怜, 神田展行, 伊藤洋介, 澤田崇広, KAGRA Collaboration
  • 学会等名: 日本物理学会第77回年次大会
• [学会発表] 重力波の初観測から現状」(招待講演)、 (2022)
  • 著者名/発表者名: 神田展行(大阪市立大学 理学研究科 / 南部陽一郎物理学研究所) KAGRAコラボレーション、
  • 学会等名: 2021年度電子光理学研究拠点共同利用成果報告会 ELPH symposium 2022
  • 招待講演
• [学会発表] 重力波観測とKAGRAの今後」（招待講演）, (2021)
  • 著者名/発表者名: 神田展行, KAGRA collaboration,
  • 学会等名: 第12回光赤外線天文学大学間連携ワークショップ,
  • 招待講演
• [学会発表] KAGRA 実験による重力波観測が拓くマルチメッセンジャー天文学」（シンポジウム講演）, (2021)
  • 著者名/発表者名: 神田展行(大阪市立大学), KAGRAコラボレーション,
  • 学会等名: 日本物理学会第76回年次大会
• [学会発表] 国際観測ネットワーク参加に向けたKAGRAデータ転送・保管システムの運用状況 (2021)
  • 著者名/発表者名: 酒井一樹, 神田展行, 大原謙一, 土田怜, 小根澤瞭太, on behalf of the KAGRA Collaboration
  • 学会等名: 日本物理学会第76回年次大会
• [学会発表] Apache Kafka による国際重力波観測ネットワークにおける低遅延データ共有システムの構築 (2021)
  • 著者名/発表者名: 小根澤瞭太, Patrick J Brockill, 神田展行, 大原謙一, 土田怜, 酒井一樹, on behalf of the KAGRA Collaboration
  • 学会等名: 日本物理学会第76回年次大会
• [学会発表] 短時間ラプラス変換を用いた重力波波形の解析と信号探索 (2021)
  • 著者名/発表者名: 土田怜, 神田展行, 伊藤洋介, 澤田崇広, KAGRA Collaboration
  • 学会等名: 日本物理学会第76回年次大会
• [学会発表] KAGRA O3GKの較正データの安定性・ガウス性評価 (2021)
  • 著者名/発表者名: 森末希, KAGRA collaboration
  • 学会等名: 日本物理学会第76回年次大会
• [備考] 大阪公立大学重力波物理学・天体物理学研究室
  • URL: https://www.gw.sci.osaka-cu.ac.jp
• [備考] 国立天文台 重力波プロジェクト推進室
  • URL: https://gwpo.nao.ac.jp