研究課題/領域番号 |
17H06135
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研究機関 | 大学共同利用機関法人高エネルギー加速器研究機構 |
研究代表者 |
三原 智 大学共同利用機関法人高エネルギー加速器研究機構, 素粒子原子核研究所, 教授 (80292837)
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研究分担者 |
西口 創 大学共同利用機関法人高エネルギー加速器研究機構, 素粒子原子核研究所, 准教授 (10534810)
上野 一樹 大学共同利用機関法人高エネルギー加速器研究機構, 素粒子原子核研究所, 助教 (20587464)
五十嵐 洋一 大学共同利用機関法人高エネルギー加速器研究機構, 素粒子原子核研究所, 講師 (50311121)
吉田 誠 大学共同利用機関法人高エネルギー加速器研究機構, 素粒子原子核研究所, 研究機関講師 (70379303)
深尾 祥紀 大学共同利用機関法人高エネルギー加速器研究機構, 素粒子原子核研究所, 助教 (80443018)
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研究期間 (年度) |
2017-05-31 – 2022-03-31
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キーワード | 量子ビーム |
研究実績の概要 |
本研究ではJ-PARCで準備中のμ-e転換事象探索実験COMETのために新規に建設中のミューオンビームラインで供されるミューオンビーム診断を行い、その最適化を施すことを研究の目的としている。2019年度には以下の研究を実施した。 ミューオンビームが輸送される輸送ソレノイドの磁場分布を検出器が配置される検出器ソレノイドの磁場となめらかに接続することでミューオンビームを効率よく輸送し不要な二次粒子成分を除去するためのブリッジソレノイドの製作とコリメータの最適化を実施した。実験遂行時のミューオンビームの状態をモニターするためのミューオンビームモニター検出器の開発も合わせて行った。ビーム診断を行うための主要検出器であるLYSOカロリメータ検出器に使用するLYSO検出器に関しては2018年度にコストダウンを実現したが、2019年度にはその製造方法に基づきLYSO結晶の大量生産とその性能評価を順次行った。 このLYSO結晶を含めカロリメータ検出器に使用されるエレクトロニクスは実験遂行時に高い放射線環境下に置かれる。このため結晶や使用されるエレクトロニクス部品の放射線耐性を調べる必要が庄司、中性子・ガンマ線照射試験を実施してその応答を調べた。この結果に基づき、LYSO結晶カロリメータ読出しエレクトロニクスボードの大量生産を開始した。。 これらの開発と並行してデータ収集システムの試験も実施した。また実験の主要な背景事象の一つとされる一次陽子ビーム期限の反陽子が生成される確率を調べるための断面積計測方法の検討を実施した。一次陽子ビームを照射してパイ中間子を発生させるための標的に使用される新素材の開発も合わせて行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
現在のところ、ビームライン建設の遅れから当初の計画で予定していたビーム計測が行えていない状況にある。 またCOMET実験グループで建設を予定していた検出器ソレノイド磁石の製作が遅れていおり、このため検出器ソレノイドに接続されるブリッジソレノイドクライオスタット、LYSOカロリメータ検出器構造体の製作が出来ない状況にある。このような状況ながら遅れを最小化して研究を遂行するため、ブリッジソレノイドクライオスタット、カロリメータ検出器構造体に双方に関して部品製作を先行して行うことで対処しようとしている。
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今後の研究の推進方策 |
引き続きビーム診断装置の製作を継続し2020年度内の完成を目指す。ブリッジソレノイド磁石に関しても検出器ソレノイド部分とのインターフェース部分を別途製作するような仕様とすることで検出器ソレノイド製作のスケジュールになるべく依存しなような方式で研究を進める。予定していたビーム計測が実現できないじょうきょうにはあるが、不定性の大きな反陽子起源の背景事象は別ビームラインにて計測を行い、ビームライン完成後には直ちに二次ビーム位相空間の測定と最終的な目標である物理計測を実現できるように準備を進めている。
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