研究課題
気候変動予測モデルにおいて雲と対流の生成に重要な物理量を、地上で観測可能な波長355nmの高感度型多視野角・多重散乱偏光ライダ(MFMSPL-355)、波長355nmの広視野角・高スペクトル分解ライダ(HSRL-355)、波長355nmの直接検波方式のドップラーライダ(DL-355)と、既存の波長2ミクロンのドップラーライダとドップラー雲レーダから構成される次世代型観測システムを構築した。このシステムを用いて雲域とそれ以下の高度領域の大気の鉛直速度の解析手法の開発を行った。従来より飛躍的に高時間分解能で雲底の大気の上昇速度とその下の大気の力学場に関する解析が可能になり、観測から初めて雲底の上昇速度を与える関係式を確立した。また、雲解像モデル(CRM)の計算結果による定式化が上昇速度を過大評価する問題のあること、我々のデータ解析からCRMの過大評価の要因も明らかにできた。波長355nmと532nmの2波長で広視野角・高スペクトル分解ライダを実現し、初めてEarthCARE衛星/CALIPSO衛星の信号再現に成功した。DL-355では大気分子の信号を利用できるため、波長2ミクロンのドップラーライダと比較して、より上層まで鉛直流の観測が可能となった。我々の衛星解析データによって氷雲と水雲の存在比率にダスト濃度が影響する事がわかっていたが、この解明をより進めるために、多様な粒子形状を超回転楕円体モデルを考慮した散乱計算を行い、HSRLの観測で得られた値の変動を網羅することが可能であることを実証した。地上観測システムによって確立された結果と、粒子の散乱特性の理論的進展を衛星解析アルゴリズムに応用し、氷粒子タイプ、降水粒子タイプ、雲とエアロゾルの微物理特性と対流の全球解析を実施し、気候変動予測モデルにおける雲・対流パラメタリゼーションに対する改良につながる提案を行うことができた。
令和3年度が最終年度であるため、記入しない。
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