研究課題
本研究においては時間/空間相関によるガンマ線イメージング技術の原理実証を行い、その高い解像度・感度・S/N比を追求するために、入射方位を検出することのできる3次元検出器を用いた2光子電子飛跡精密測定型断層撮像装置(Double Photon Emission CT: DPECT)を製作し、新たな2光子放出核種を用いたイメージングの可能性を追求するものである。平成29年度は高エネルギー分解能ガンマ線ピクセル検出器の研究として、東北大学において、シンチレータとしてCeBr3結晶のブリッジマン法による1インチ径単結晶作製を進め、CeBr3ピクセルアレイの製作に成功した。また、東京大学において30mm角の反跳電子飛跡精密計測カメラの開発研究として、5mm角のシリコンチップの試作を実施した。また、ガンマ線入射方向精密計測のために、東京大学において東北大学において開発されたCeBr3アレイとSiPMアレイを組み合わせた原理検証用の検出器を製作し評価を行ったところ、122keVのガンマ線に対して25%程度のエネルギー分解能が得られた。同様のアレイでのGAGGシンチレータでは、15%程度のエネルギー分解能になっており、まだエネルギー分解能としては改善が必要であるものの、8×8アレイの製作に成功しており、DPECTの実現に向けた初年度の研究としては、重要な成果が得られたといえる。DPECT撮像によるペプチド標識In-111マウスイメージングについては、国際医療福祉大学においてイメージング解析システムの整備を行い、In-111について通常の単一光子イメージングと二光子イメージングとの比較を行い、3μsecのコインシデンスウィンドウを用いて、バックグラウンド成分を大きく減少させることができた。理化学研究所においては、理研AVFサイクロトロンにおいて生成可能である多光子核種の検討を進め、Na-24、K-42、Ba-135mなどの多光子放出核種の分離等に必要なプロセスについての整備を進めた。
2: おおむね順調に進展している
当初予定していた計画に従い、順調に研究成果が得られている。特に、CeBr3検出器の開発においては、エネルギー分解能こそまだ十分ではないが、当初の予定を超えてCeBr3のアレイの製作と、その信号読み出しに成功した。また、査読付き論文30件、国際会議発表12件、と対外成果発表も十分に行っている。
概ね順調に進んでいるため、当初計画に沿って研究を遂行する予定である。本研究で実現を目指す多光子時間/空間相関型断層撮像法は、複数光子間の相関を用いて体内放射能濃度を高分解能・高感度・高S/N比で描出し、従来のPET、SPECTの本質的な限界を突破する画期的な手法であるため、新手法の分解能・感度・S/N比等の諸特性の評価を狙い、象徴的な半球型試験装置の製作を行い、分子イメージングを革新する計測原理を追求する。本年度の成果により、CeBr3のアレイ化まで実現できたが、エネルギー分解能の点では問題が残っている。まずはCeBr3アレイとSiPMアレイの組み合わせによるエネルギー分解能の改善を図り、コンプトンイメージングを実現する。CeBr3の分解能の向上が非常に困難であれば、SrI2アレイあるいはGAGGアレイとSiPMアレイの組み合わせを用いる。これを高分解能反跳電子飛跡検出器と組み合わせて、検出器モジュールを実現し、全体を組み上げる。新しい多光子核種について候補核種についての分離合成を進めながら、In-111標識ペプチドを用いて2光子放出核種検出1分子イメージングを実現し、日本発の革新的ガンマ線診断技術の確立と、Sc-44などの多光子核種への展開を図る。
すべて 2018 2017
すべて 雑誌論文 (38件) (うち国際共著 14件、 査読あり 30件、 オープンアクセス 16件) 学会発表 (16件) (うち国際学会 12件、 招待講演 4件)
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