研究課題/領域番号 |
17H06167
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
深川 竜郎 大阪大学, 生命機能研究科, 教授 (60321600)
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研究期間 (年度) |
2017-05-31 – 2022-03-31
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キーワード | セントロメア / キネトコア / 細胞周期 / エピジェネティックス / 電子顕微鏡 / 構造解析 / ゲノム科学 |
研究実績の概要 |
I) 細胞周期に依存したセントロメア構成タンパク質ネットワークの理解 我々のこれまでの実験からCENP-Cの中間領域が、CENP-HIKM(LN)と間期で結合し、CENP-CのC末端側が、CENP-AとM期で結合することを見出している。この結合にCENP-Cのリン酸化が関与することを予想して、CENP-Cのリン酸化を解析した結果、複数のアミノ酸が間期あるいはM期特異的にリン酸化を受けていることが確認された。今年度は、このリン酸化がCENP-AとCENP-Cの結合に関与することを明らかにできた。 II) セントロメアが形成されるゲノム基盤の理解 多くの生物種では、セントロメアのゲノム領域に、高度な反復配列が存在し、ゲノム解析が困難であったが、我々は、反復配列を持たないネオセントロメアを作成する実験系を用いてセントロメアに特異的なヒストン修飾を同定した。今年度は、CDK1as変異細胞を活用し、高精度に同調した各細胞周期において、各ヒストン修飾に対する抗体を用いたChIP-seq解析を行う事で、細胞周期の進行に伴うヒストン修飾の変化を解析し、あるヒストン修飾がG1期特異的におこることを見出した。 III) 電子顕微鏡を活用したセントロメアタンパク質複合体の構造基盤の理解これまでの研究で、我々は、セントロメア構成タンパク質を試験管内で発現・精製し、サブ複合体の再構成に成功している。次の目標は、セントロメアタンパク質群の構造を原子レベルで理解するために、クライオ電子顕微鏡を活用して各サブ複合体の構造を決定することである。今年度度は、CENP-HIKMやCENP-AヌクレオソームとCENP-C複合体の構造解析に挑戦し、その結合形成を一部明らかにした。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
細胞周期に依存したセントロメア構成タンパク質ネットワークの変化に関しては、予想外の結果が得られ、研究が大きく進展した。分野の概念を変える発見と期待して今後も研究を進める。また、我々の同定したセントロメアに特異的なヒストン修飾が細胞周期に特異的におきることも判明したのも予想外の進展であり、研究が大きく進んだ。再構成実験やクライオ電子顕微鏡を用いた構造解析の実験は、概ね予定通りであるが、総合的に見て、当初の計画以上のペースで研究は、進展している。
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今後の研究の推進方策 |
これまでの研究は、順調に推進できているので、基本的には、引き続き研究計画に沿って研究を推進する。
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