研究課題/領域番号 |
17H06168
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
西山 真 東京大学, 生物生産工学研究センター, 教授 (00208240)
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研究分担者 |
富田 武郎 東京大学, 生物生産工学研究センター, 助教 (50447364)
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研究期間 (年度) |
2017-05-31 – 2022-03-31
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キーワード | アミノ基キャリアタンパク質 / 生合成 / 二次代謝産物 / 結晶構造解析 |
研究実績の概要 |
リジン生合成酵素とアミノ基キャリアタンパク質(AmCP)相互作用を解明する一環として、複合体構造が明らかでない、LysJとの共結晶の作製を試みているが、今までに良い反射を与える良好な結晶は得られていない。 AmCPを介して生合成される二次代謝産物生合成は、1)アザビシクロ環生合成機構、2)a)グリオキシル酸ヒドラゾンユニットの生合成機構の解析、b)タイプIIAmCPが関わる二次代謝の生合成機構、3)その他の生物に見出されるAmCP遺伝子クラスターの解析に分けられる。1)については、vzb10/11、vzb13、vzb7、vzb5/6の遺伝子破壊によりvazabitide Aの生産が消失すること、及びこれらの機能予測から、スルホン化によって活性化された末端水酸基とδアミノ基の間で三員環構造がVzb10/11により形成され、それが非リボソーム型ペプチド合成酵素 (NRPS)であるVzb7にロードされ、Vzb5/6によってα-βに二重結合が導入され、アザビシクロ環が形成されると推測された。2)a)については、最初にリジンのεアミノ基をOrf38がに水酸化すること、ついでOrf40がグリシンを活性化し、水酸化リジンとの間でエステル中間体の形成を経て、N-N結合の形成に関わること、そしてOrf39がヒドラジノ酢酸を生成することが明らかになりつつある。 2)b)については、タイプIIAmCPが担う二次代謝産物の生合成は、AmCPにグルタミン酸が付加した後に、修飾を受け、グルタミン酸末端がセミアルデヒドになった後、C3化合物の付加、アミノ化が進行することが明らかになりつつある。3)については、クラスターを構成する遺伝子のうち、2つが大腸菌では不溶性タンパク質として発現するため、まだ最終産物が何であるかは分からないが、宿主を変えたり、同遺伝子のホモログなどを用いることで打開していきたい。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
アザビシクロ環の生合成について進展が見られ、また新たなN-N形成反応が明らかになりつつある。さらにはタイプIIAmCPの中間体が検出されるなど、研究としては順調に進展している。若干遅れている結晶化、遺伝子発現において工夫をしていきたい。
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今後の研究の推進方策 |
結晶化や、遺伝子発現について、うまく行かないところもあるが、概ね順調に進展しており、もし必要があれば、結晶化タンパク質の組み合わせを変えたり、他種のホモログ遺伝子を用いることなどにより、問題点を打開することを考えている。
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