研究課題
研究代表者らが発見した直鎖状ユビキチン鎖は現在では刺激依存的なNF-kappaB活性化、プログラム細胞死抑制に寄与する刺激伝達系として世界的に認知されている。さらに、直鎖状ユビキチン鎖を選択的に生成するLUBACユビキチンリガーゼ(HOIL-1L、HOIP、SHARPINから構成される)の機能亢進、低下がガン、自己炎症性疾患と免疫不全の合併疾患の発症に関与することも報告され、臨床的にも注目を集めている。本提案ではその普遍化と疾患研究の基礎を築くことを目指し、これまでの研究成果を踏まえ、1.LUBACユビキチンリガーゼの活性調節と機能発現機構の解析、2.直鎖状ユビキチン鎖による新規炎症、免疫調節機構の検索、3.LUBACサブユニット欠損マウスを用いた新規バイオロジーの開拓、4.LUBAC活性化による発ガンイニシエーション機構とLUBAC阻害剤の開発の4点から研究を推進している。その中で本年度は以下の3点の研究成果を得た。1.メラノーマ、大腸癌モデルを用いたLUBACのガンにおける役割を詳細に解析したところ、ガン細胞はガンが血流不足で壊死に陥ったことで放出される炎症惹起分子に応答して直鎖状ユビキチン鎖を生成することで細胞死を免れるとともに、慢性的な炎症反応を形成することで自らの増殖を促していることを明らかにしている。2.直鎖状ユビキチン鎖を選択的に認識するオートファジーアダプターであるABIN1は刺激によってリン酸化されることによって、シグナル分子をオートファジーによる分解に導くことによって刺激を抑制していることを明らかにした。3.HOIL-1L変異マウスを用いてHOIL-1L家系で認められる異常グリコーゲン蓄積が、同じく異常グリコーゲン蓄積を来す疾患であるラフォラ病のMalin変異で認められる蓄積と同じであることを明らかにした。
令和3年度が最終年度であるため、記入しない。
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すべて 国際共同研究 (1件) 雑誌論文 (5件) (うち国際共著 1件、 査読あり 5件) 学会発表 (3件) (うち国際学会 1件、 招待講演 2件)
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