研究課題
ポジトロニウムのレーザー冷却を実証するための特殊なパルスレーザー光源を完成させた。従来のレーザー光源では困難であった、ポジトロニウムの有限寿命、および軽質量に起因する広いドップラー広がりを克服可能な、サブマイクロ秒のパルス幅、200GHz以上のスペクトル幅を有する中心波長243nmのパルスレーザーを実現した。さらに、本システムを構成するマルチパス増幅における増幅タイミングを制御し、出力パルス光の時間分解分光を行うことで、冷却効率の向上に寄与するパルス内の周波数チャープの存在を実証した。並行して数値シミュレーションを実施し実験との比較を行うことで、本研究で構築した特殊光源の動作原理を解明した。これによって、計算に基づいて今後レーザー冷却の最適化を行うことが可能となった。また、ポジトロニウムへの深紫外レーザー照射実験を実施した。シリカエアロゲルに陽電子を打ち込み、内部の空孔中で生成したポジトロニウムに対して、上記光源とは別に用意した波長243nmのナノ秒深紫外レーザーを照射した。その結果、ポジトロニウムの1Sから2P状態への励起が観測されたものの、短寿命で崩壊する現象が観測された。このため、新たにセットアップを構築し、真空中のポジトロニウムに対して同様に深紫外レーザーを照射したところ、2P励起の共鳴スペクトルを得ることができた。これはポジトロニウムレーザー冷却へ向けての大きな前進である。また、シリカエアロゲル中での2Pポジトロニウムの振る舞いは、空孔中でのポジトロニウム物性の観点からも興味深く、線幅や寿命の観測結果から機構の考察を行った。
令和元年度が最終年度であるため、記入しない。
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