研究課題
本研究は東海・中部地域の3つの観測サイト(神岡、犬山、船明)に独立に建設されている長基線レーザー伸縮計を最新技術の導入により検出分解能や長期安定性などの性能向上を図り、最高性能の歪観測網として統合運用し、サブミリヘルツ帯(<~10^(-3)Hz)の地動を高い分解能で観測する手法を確立させる。この時間スケール・分解能の新たな観測領域において、既知の現象の観測の精緻化を行うだけでなく、理論上予測された未検出の現象を抽出し、サブミリヘルツ帯における固体地球物理現象の探究・物理過程の解明を行う。計画に沿って3つのサイトの観測網としての運用を開始した。神岡のレーザー伸縮計(100m、1500m)とともに犬山(30m)および船明(400m)の運用を統一するため、レーザー制御やデータ取得の仕様を揃え、ネットワーク経由で装置の動作状態をモニターできるようにした。また、各観測点のデータについて初期解析の波形を表示できるシステムを構築した。データ解析については、神岡の1500mレーザー伸縮計について、観測されたひずみ記録と周辺のGNSS観測網の記録を比較し、1年程度の長期的な変化について整合していることを確認した。地震時のひずみステップについては、複数のレーザー伸縮計での同時観測記録(2018年6月18日の大阪北部地震など)が得られ、震源モデルとの比較などの解析を進めた。2019年2月に発生した東海地方のスロー地震について、犬山・船明の各レーザー伸縮計および東海地域の多成分ひずみ計のデータを統合的に解析し、通常の数日の時間スケールのスロースリップ期間にこれまで知られていない1時間程度の時間スケールのスリップ加速があることを見いだした。このように、東海・中部地域の神岡・犬山・船明の長基線レーザー伸縮計を歪観測網として運用し、既存の観測網のデータとともに解析する体制が構築できた。
令和元年度が最終年度であるため、記入しない。
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Progress of Theoretical and Experimental Physics
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