研究課題/領域番号 |
17H06224
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
中野 貴由 大阪大学, 工学研究科, 教授 (30243182)
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研究分担者 |
石本 卓也 大阪大学, 工学研究科, 准教授 (50508835)
松垣 あいら 大阪大学, 工学研究科, 助教 (10592529)
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研究期間 (年度) |
2017-06-30 – 2020-03-31
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キーワード | 骨生物材料科学 / 破骨細胞 / 共培養 / 血管ネットワーク |
研究実績の概要 |
遺伝子や機能性タンパク質レベルでの骨基質配向性の制御機構解明に挑戦し、「骨生物材料科学」という新たな学術分野を開拓する。破骨細胞系・造血幹細胞系遺伝子欠損マウス(詳細は非公開)の骨・血管構造に注目し、新学術分野開拓を目指し研究を進めている。本年度は、昨年度確立した骨基質配向性可視化手法を駆使しつつ、本年度導入した骨梁構造異方性解析のための特殊仕様骨形態計測ソフトウェアを用いた構造解析に基づき、具体的には以下の(A)~(D)の4つの大項目について研究を実施した。
(A) 遺伝子欠損マウスにより、骨基質配向化機構を解明(in vivo):破骨細胞系・造血幹細胞系遺伝子欠損マウス摘出骨に対して材料学的解析(骨生物材料解析顕微鏡、微小領域X線回折法、レーザラマン顕微鏡等)および生物学的解析(各種組織染色、免疫組織化学、リアルタイムRT-PCR等)を行い、破骨細胞系・造血幹細胞系遺伝子欠損による骨基質配向化への影響を可視化し、定量的に明らかにした。 (B) 異種細胞共培養モデルを駆使した骨基質配向化機構解明(in vitro):昨年度構築した異種細胞間の可溶性分子による相互作用を再現可能な異方性培養系を駆使し、遺伝子レベルからの骨基質配向化機構の一端を明らかにした。 (C) 骨組織培養を用いた骨基質配向性制御機構解明(ex vivo):遺伝子欠損マウス摘出骨を用いた骨組織培養モデルを構築し、複雑な生体内因子の影響を排除した生体外において骨培養し配向化現象を理解することで、骨配向性制御に関与する細胞・分子群の抽出を可能とした。 (D) 血管構造可視化により、血管―骨組織相互作用に基づく骨基質配向化機構解明:遺伝子欠損マウスにおける血管ネットワーク構造の可視化・定量的解析手法に基づき、部位に応じた血管構造の異方性と力学機能との相関関係について明らかにした。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
「研究実績の概要」に記述のとおり、今年度(平成30年度)に計画していた以下の項目は、当初の計画を上回り進展した。特に、今年度は昨年度までに確立した遺伝子欠損マウスの骨配向性ならびに血管構造の可視化・解析手法を用い、骨配向性を制御する機能性タンパク質レベルでの配向化機序解明に取り組み、骨の異種細胞間相互作用を介した配向化機構の一端を明らかにしたことは極めて意義深い。以下に、代表的な項目ごとの進捗を示す。なお、記号の意味は、◎:当初の計画以上に進展、〇:計画どおり進展、とする。
(A)遺伝子欠損マウスにより、骨基質配向化機構を解明(◎)、(B)細胞共培養モデルにより骨基質配向化機構を解明(◎)、(C)骨組織培養を用いた骨基質配向性制御機構解明(〇)(D)遺伝子欠損マウスにおける血管ネットワーク構造の可視化・定量的解析手法の確立(〇) 以上より、総合的に「当初の計画以上に進展している(◎)」と自己評価する。
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今後の研究の推進方策 |
平成30年度に計画していた研究項目は、一部計画を前倒ししつつ進展し、共培養モデルによる骨関連細胞間相互作用に基づく配向化機序の解明および血管ネットワーク構造の定量的解析手法の確立が既に完了したことから、「骨生物材料科学」構築のための骨配向化の生物学的機序(詳細は非公開)が明らかになりつつある。 次年度は、今年度までの成果を踏まえ、in vivo、in vitro、ex vivo、血管ネットワークの融合的手法に基づき、生物機能が作り出す多彩な配向化基質を対象に、材料学と生物学の融合分野としての新学術分野の構築を目指す。
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