遺伝子や機能性タンパク質レベルでの骨基質配向性の制御機構解明に挑戦し、「骨生物材料科学」という新たな学術分野を開拓する。破骨細胞系・造血幹細胞系遺伝子欠損マウス(詳細は非公開)の骨・血管構造に注目し、新学術分野開拓を目指し研究を進めている。本年度は、昨年度までの成果を踏まえ、生物機能が作り出す多彩な配向化基質を対象に、in vivo、in vitro、ex vivoの融合的手法に基づき、以下の具体的な成果を得た。 (A) 遺伝子欠損マウス骨を対象に、骨基質配向化機構を解明(in vivo):破骨細胞系・造血幹細胞系遺伝子欠損マウス摘出骨に対して材料学的解析(骨生物材料解析顕微鏡、微小領域X線回折法、レーザラマン顕微鏡等)および生物学的解析(各種組織染色、免疫組織化学、リアルタイムRT-PCR等)を駆使することで、造血幹細胞を起源とする破骨細胞分化系譜の上流および下流で機能する遺伝子について骨配向性への関与を明らかにした。 (B) 異種細胞共培養モデルを駆使した骨基質配向化機構解明(in vitro):前年度までに確立した骨系細胞と異種細胞(がん細胞を含む)の共培養モデルを用いることで細胞動態に基づく骨配向化制御機序を見出した。 (C) 荷重下でのマウス大腿骨培養系を駆使した配向化制御因子の解明(ex vivo):初年度確立したマウス摘出骨を用いた骨組織培養モデルにより、骨配向化に関与する複数の機能性タンパク質(詳細は非公開)を見出した。
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