初年度と次年度の解析結果より、長鎖型次世代ゲノムシークエンサーのMinIONをreadをx10程度のDepthで解析した場合、De novo アセンブリは非常に難しく、Illumina型のshort readと組み合わせることでゲノム配列の確定が可能であることが明らかとなった。そこで、今年度は、MinIONデータならではの利点を利用するために、日本晴リファレンスゲノムとの大きなギャップがあるMinIONreadを同定し、それをイルミナ配列に当てて、日本晴とコシヒカリで、構造変化がある場所を数十か所候補として確認し、PCRにより、日本晴とコシヒカリでことなるSV(Sturcuture Variant)の存在する場所を特定した。PCRの結果は、MinIONによる候補の推定の大部分が正しいことを示す結果であったが、一方で、MinION read 単独で、新規ゲノム配列を解読して、品種間差をコストをかけずに明らかにして、育種過程の検証やGWAS解析に繋げていくというアプローチはまだ、実現不可能であることが明らかとなった。今回の解析で同定したSVは、日本の主力稲品種コシヒカリとリファレンスゲノムである日本晴の品種間差で、イルミナデータでは同定できないタイプの情報で非常に有用であるので、今後、解析を進めて、論文化もしくは、データベースとしての公開を進めていく。一方、2018年に中国とフィリピンの共同研究で、イネ3Kを超えるイネ品種のイルミナゲノム情報が公開されており、そのデータ解析を進めている。また、名古屋大や遺伝研と共同で、日本稲品種数百品種、野生イネの数百系統のゲノム情報を入手し、当初の目的を達成するための研究を開始している。
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