動物の心を読む：画像解析と人工知能を応用した新しい実験動物評価モデルの確立

2019 年度 実績報告書

• 研究課題/領域番号: 17H06252
• 研究機関: 東京大学
• 研究代表者: 村田 幸久 東京大学, 大学院農学生命科学研究科(農学部), 准教授 (40422365)
• 研究期間 (年度): 2017-06-30 – 2020-03-31
• キーワード: 人工知能 / 画像解析 / 実験動物

研究実績の概要

実験動物モデルの評価には以下に挙げる課題がある。ⅰ）技術面：麻酔は神経や循環器の機能に大きく影響し、手術による痛みも強烈である。施術や評価には個人差があるため、再現性に乏しい場合もある。また、観察には長時間を要することもあり、評価者の負担になる。ⅱ）評価項目：疼痛やストレス、生活リズムなど、疾患管理の上で非常に重要な項目を、実験動物を用いて客観的に評価するのは難しい。ⅲ）倫理面：各々の評価を単独で行う場合も多く、非常に多くの実験動物の犠牲を要する。実験動物を長時間拘束することにも問題がある。

以上の課題を解決るには、動物にとってより自然な環境下で、彼らの生体情報や情動を、客観的かつ総合的に評価できる技術の確立が必須である。そこで本提案は、実験動物からより重要な情報をより多く、より簡単に取得できる技術の開発を目的とする。具体的には、画像解析技術や人工知能を応用し、無麻酔、無拘束、非侵襲の状態で生体情報や情動を評価できる、新しい実験動物評価系を確立する。

令和元年度の研究では、これまでに構築してきた撮影、解析技術を様々な病態モデルの評価に応用していった。具体的には睡眠リズムの解析、塩酸投与による急性肺炎モデル、卵白アルブミンの皮下・経口投与による食物アレルギーモデル、痛み（不安）モデルの撮影と解析を行った。加えてマウスの引っ掻きやグルーミングを自動検出できる人工知能の構築にも成功し、論文発表を行った。

現在までの達成度 (段落)

令和元年度が最終年度であるため、記入しない。

今後の研究の推進方策

令和元年度が最終年度であるため、記入しない。

研究成果

• [雑誌論文] Automated detection of mouse scratching behaviour using convolutional recurrent neural network (2021)
  • 著者名/発表者名: Kobayashi Koji、Matsushita Seiji、Shimizu Naoyuki、Masuko Sakura、Yamamoto Masahito、Murata Takahisa
  • 雑誌名: Scientific Reports 巻: 11 ページ: 658
  • DOI: 10.1038/s41598-020-79965-w
  • 査読あり
• [雑誌論文] L-PGDS-derived PGD2 attenuates acute lung injury by enhancing endothelial barrier formation. (2019)
  • 著者名/発表者名: Horikami D, Toya N, Kobayashi K, Omori K, Nagata N, Murata T.
  • 雑誌名: J Pathol 巻: 248 ページ: 280-290
  • DOI: 10.1002/path.5253.
  • 査読あり
• [雑誌論文] Hematopoietic prostaglandin D synthase-derived prostaglandin D2 ameliorates adjuvant-induced joint inflammation in mice. (2019)
  • 著者名/発表者名: Tsubosaka Y, Maehara T, Imai D, Nakamura T, Kobayashi K, Nagata N, Fujii W, Murata T.
  • 雑誌名: FASEB J 巻: 33 ページ: 6829-6837
  • DOI: 10.1096/fj.201802153R.
  • 査読あり
• [雑誌論文] Therapeutic potential of D prostanoid receptor 1 signal enhancement in a murine model of food allergy. (2019)
  • 著者名/発表者名: Nakamura T, Hirai R, Tachibana Y, Masuko S, Nagata N, Murata T.
  • 雑誌名: J Allergy Clin Immunol 巻: 143 ページ: 2290-2293.e4.
  • DOI: 10.1016/j.jaci.2019.01.039.
  • 査読あり
• [雑誌論文] Epithelial cell-derived prostaglandin D2 inhibits chronic allergic lung inflammation in mice. (2019)
  • 著者名/発表者名: Maehara T, Nakamura T, Maeda S, Aritake K, Nakamura M, Murata T.
  • 雑誌名: FASEB J 巻: 33(7) ページ: 8202-8210
  • DOI: 10.1096/fj.201802817R.
  • 査読あり
• [雑誌論文] Production of lipid mediators in mastitic milk of cow. (2019)
  • 著者名/発表者名: Hayashi A, Fujii S, Nakamura T, Kobayashi K, Sakatani M, Endo M, Takahashi T, Murata T.
  • 雑誌名: Anim Sci J 巻: 90(8) ページ: 999-1007
  • DOI: 10.1111/asj.13222.
  • 査読あり
• [雑誌論文] The assessment of mouse spontaneous locomotor activity using motion picture. (2019)
  • 著者名/発表者名: Kobayashi K, Shimizu N, Matsushita S, Murata T.
  • 雑誌名: J Pharmacol Sci 巻: 143(2) ページ: 83-88
  • DOI: 10.1016/j.jphs.2020.02.003.
  • 査読あり
• [学会発表] PGDM as a Specific Maker of Food Allergy (2020)
  • 著者名/発表者名: Takahisa Murata
  • 学会等名: Food Allergy Gordon Research Conference
  • 国際学会 / 招待講演
• [学会発表] アトピー性皮膚炎モデルマウス及び患者における尿中脂質プロファイルの解析 (2020)
  • 著者名/発表者名: 永田 奈々恵、濵﨑 雄大、稲垣 真一郎、中村 達朗、堀上 大貴、山本 貴和子、犬塚 祐介、下澤 達雄、橘 侑里、成田 雅美、大矢 幸弘、村田 幸久
  • 学会等名: 第2回比較薬理学・毒性学会春季研究会
  • 招待講演
• [学会発表] 5,6-DiHETEはTRPV4チャネルを阻害して腸炎の治癒を促進する (2020)
  • 著者名/発表者名: 小林幸司、芦名功平、Derouiche Sandra、濱端大貴、中村達朗、永田奈々恵、富永真琴、村田幸久
  • 学会等名: 第2回比較薬理学・毒性学会春季研究会
  • 招待講演
• [学会発表] 疾患における生理活性脂質の役割の解明と応用 (2020)
  • 著者名/発表者名: 大森啓介、前原都有子、藤原祐樹、宮崎悠介、藤井省太、堀上大貴, 山崎愛理沙、今井大貴、橘侑里、益子櫻、林亜佳音、濱崎雄太、木田美聖、小林唯、宮田佳奈、山本晃子、竹ノ内晋也、原口大雅、芦名功平、小林幸司、中村達朗、永田奈々恵、村田幸久
  • 学会等名: 第2回比較薬理学・毒性学会春季研究会
• [学会発表] プロスタグランジンD2を毒仮説から考える (2020)
  • 著者名/発表者名: 中村達朗、藤原祐樹、木田美聖、村田幸久
  • 学会等名: 第2回比較薬理学・毒性学会春季研究会
  • 招待講演
• [学会発表] The role of Prostaglandin D2 synthase in retinal angiogenesis (2020)
  • 著者名/発表者名: 堰八英里香、大森啓介、小林幸司、永田奈々恵、中村達朗、倉田薫里、植村明嘉、村田幸久
  • 学会等名: 第93回日本薬理学会年会
• [学会発表] 動物の心を読む：薬理学における動物行動研究の新展開 画像解析による動物行動評価方法の開発 (2020)
  • 著者名/発表者名: 小林幸司、松下誠司、清水直行、村田幸久
  • 学会等名: 第93回日本薬理学会年会 公募シンポジウム
  • 招待講演
• [学会発表] PGD2シグナルの欠損と強化で変わる食物アレルギー病態フェノタイプ (2019)
  • 著者名/発表者名: 中村達朗、平井里奈、橘侑里、村田 幸久
  • 学会等名: 第1回日本比較薬理毒性学会春季研究会
• [学会発表] Pharmacological stimulation of DP receptor is beneficial for food allergy in mice (2019)
  • 著者名/発表者名: Takahisa Murata, Tatsuro Nakamura, Rina Hirai, Sakura Masuko
  • 学会等名: 2019 AAAAI Annual Meeting
• [学会発表] 生体における脂質の役割解明とその応用 (2019)
  • 著者名/発表者名: 村田幸久
  • 学会等名: 日本医学会連合risign starリトリート
  • 招待講演
• [学会発表] 動画を用いたマウス自発運動の自動測定方法の確立 (2019)
  • 著者名/発表者名: 小林幸司、清水直行、松下誠司、村田幸久
  • 学会等名: 第66回日本実験動物学会総会
• [学会発表] マーモセット消耗症候群における尿中脂質代謝産物の産生プロファイル (2019)
  • 著者名/発表者名: 山崎愛理沙1, 中村達朗1, 宮部貴子2, 平田暁大3, 井上理香子1, 小林幸司1, 宮崎悠介1, 石上暁代2, 兼子明久2, 小泉誠4, 太田裕貴5, 岡野ジェイムス洋尚5, 村田幸久1
  • 学会等名: 第66回日本実験動物学会総会
• [学会発表] The role of PGD2/CRTH2 signaling in host defense against bee venom (2019)
  • 著者名/発表者名: Misato Kida, Tatsuro Nakamura, Yuki Fujiwara, Takahisa Murata.
  • 学会等名: The 68th Annual Meeting of Japanese Society of Allergology
• [学会発表] 8-iso PGE2 causes nasal congestion in allergic rhinitis of mice (2019)
  • 著者名/発表者名: Yuri Tachibana, Tatsuro Nakamura, Takahisa Murata
  • 学会等名: The 68th Annual Meeting of Japanese Society of Allergology
• [学会発表] Lipid profiling in nasal lavage fluid of a murine model of allergic rhinitis (2019)
  • 著者名/発表者名: Tatsuro Nakamura, Yuri Tachibana, Takahisa Murata
  • 学会等名: The 68th Annual Meeting of Japanese Society of Allergology
• [学会発表] リピドーム解析の病態解明や診断への応用 (2019)
  • 著者名/発表者名: 村田幸久
  • 学会等名: 脂質生化学会
  • 招待講演
• [学会発表] 5,6-DiHETEは血管の透過性を抑制する (2019)
  • 著者名/発表者名: 濱端大貴、中村達朗、芦名功平、橘侑里、堀上大貴、小林幸司、○村田幸久
  • 学会等名: 脂質生化学会
• [学会発表] L-PGDS由来のPGD2がエストロゲン 枯渇による骨破壊に与える影響 (2019)
  • 著者名/発表者名: 今井 大貴、大森 啓介、壺坂 義記、永田 奈々恵、小林 幸司、中村 達郎、村田 幸久
  • 学会等名: 第140回日本薬理学会関東部会
• [学会発表] がん内血管内皮細胞の抗がん剤感受性においてL-PGDSが果たす役割の解明 (2019)
  • 著者名/発表者名: 小林唯、宮崎悠介、大森啓介、小林幸司、村田幸久
  • 学会等名: 第140回日本薬理学会関東部会
• [学会発表] ハチ毒に対する生体防御反応においてプロスタグランジンD2受容体CRTH2シグナルが果たす役割 (2019)
  • 著者名/発表者名: 木田美聖、中村達朗、藤原祐樹、村田幸久.
  • 学会等名: 第140回日本薬理学会関東部会
• [学会発表] 脂質が循環に与える影響 (2019)
  • 著者名/発表者名: 村田幸久
  • 学会等名: 日本血管生物医学会 血管研究会
  • 招待講演
• [学会発表] Mediator Lipidomics: Towards Comprehensive Metabolic Profiling of Eicosanoids and Related Fatty Acids (2019)
  • 著者名/発表者名: Atsuhiko Toyama, Tatsuro Nakamura, Takahisa Murata.
  • 学会等名: The Omics Rebolution: Beyond Genomics
• [学会発表] L-PGDSがエストロゲン枯渇による骨破壊に与える影響 (2019)
  • 著者名/発表者名: 今井大貴、大森啓介、壷阪義記、永田奈々恵、小林 幸司、藤井渉、 中村達郎、村田幸久
  • 学会等名: 第162回日本獣医学会学術集会
• [学会発表] L-PGDSはがん血管内皮細胞の薬剤感受性を低下させる (2019)
  • 著者名/発表者名: 小林唯、宮崎悠介、大森啓介、小林幸司、村田幸久
  • 学会等名: 第162回日本獣医学会学術集会
• [学会発表] ハチ毒に対する生体防御反応においてプロスタグランジンD2受容体CRTH2シグナルが果たす役割 (2019)
  • 著者名/発表者名: 木田美聖、中村達朗、藤原祐樹、村田幸久.
  • 学会等名: 第162回日本獣医学会学術集会
• [学会発表] アレルギー性鼻炎モデルマウスの鼻汁における 脂質メディエーターの産生量の変化 (2019)
  • 著者名/発表者名: 橘 侑里、中村 達朗、荒井 美乃、曽根 正好、村田 幸久
  • 学会等名: 第162回日本獣医学会学術集会
• [学会発表] マーモセットウェイスティングシンドロームにおける尿中脂質代謝産物の 産生プロファイル (2019)
  • 著者名/発表者名: 山崎愛理沙、中村達朗 、宮部貴子、平田暁大 、井上理香子、 小林幸司 、宮﨑悠介、石上暁代、兼子明久、小泉誠、 太田裕貴、岡野ジェイムス洋尚、村田幸久
  • 学会等名: 第162回日本獣医学会学術集会
• [学会発表] 急性肺障害におけるリポカリン型プロスタグランジンD合成酵素の役割解明 (2019)
  • 著者名/発表者名: 堀上大貴、遠矢直樹、小林幸司、大森啓介、永田奈々恵、村田幸久
  • 学会等名: 第162回日本獣医学会学術集会
• [学会発表] DBPCFC with N of 1 RCT and PGDM improve diagnostic accuracy of food allergies in a 9-year-old boy (2019)
  • 著者名/発表者名: Yusuke Inuzuka, Kiwako Yamamoto-Hanada, Motoko iwama, Kenji Toyokuni, Koji Nishimura, Makoto Irahara, Fumi Ishikawa, Makiko Miyata, Miori Sato, Yumiko Miyaji, Mayako Saito, Tatsuki Fukuie, Masami Narita, Ichiro Nomura, Tatsuro Nakamura, Tatsuo Shimosawa, Takahisa Murata, Yukihiro Ohya
  • 学会等名: Pediatric Allergy and Asthma Meeting (PAAM) 2019
• [学会発表] お腹の調子を整える新規ω3脂肪酸の発見 (2019)
  • 著者名/発表者名: 村田 幸久
  • 学会等名: DHAEPA協議会 第21回公開講演会
  • 招待講演
• [学会発表] Application of lipid mediator for Animal Health (2019)
  • 著者名/発表者名: Takahisa Murata
  • 学会等名: Animal Health Innovation Asia
  • 国際学会 / 招待講演
• [学会発表] The role of prostaglandin D2 in food allergy (2019)
  • 著者名/発表者名: Takahisa Murata
  • 学会等名: The 1st ToBEST symposium
  • 国際学会 / 招待講演
• [学会発表] 無拘束・非侵襲環境下での 動物評価技術の開発 (2019)
  • 著者名/発表者名: 村田幸久
  • 学会等名: 新日本科学発表
  • 招待講演
• [学会発表] 5,6-DiHETEは血管透過性を抑制する新規生理活性脂質である (2019)
  • 著者名/発表者名: 村田幸久、濱端大貴、中村達朗、芦名功平、橘侑里、堀上大貴、小林幸司
  • 学会等名: 第29回日本循環薬理学会
• [学会発表] The profiling of lipid metabolites in the nasal lavage fluid of a murine model of allergic rhinitis (2019)
  • 著者名/発表者名: Yuri Tachibana, Tatsuro Nakamura. Takahisa Murata
  • 学会等名: World Allergy Congress 2019
  • 国際学会
• [学会発表] Mast cell-derived PGD2 limits absorption of bee venom locally in skin (2019)
  • 著者名/発表者名: Murata T, Fujiwara Y, Kida M, Maehara T, Nakamura T
  • 学会等名: 第27回日本血管生物医学会学術集会
• [図書] 画像解析技術を利用した実験動物の行動評価 (2020)
  • 著者名/発表者名: 小林幸司 村田幸久
  • 総ページ数: 3
  • 出版者: 画像ラボ
• [備考] 東京大学 大学院農学生命科学研究科 放射線動物科学研究室
  • URL: http://www.vm.a.u-tokyo.ac.jp/houshasen/index.html
• [備考] 東京大学 大学院農学生命科学研究科
  • URL: https://www.a.u-tokyo.ac.jp/
• [備考] 東京大学 大学院農学生命科学研究科 応用動物科学専攻
  • URL: https://www.facebook.com/utokyo.ars.5
• [産業財産権] 情報処理装置、情報処理方法及びプログラム (2020)
  • 発明者名: 村田幸久 小林幸司 松下誠司 清水直行 湯浅智之 港高志
  • 権利者名: 村田幸久 小林幸司 松下誠司 清水直行 湯浅智之 港高志
  • 産業財産権種類: 特許
  • 産業財産権番号: 2020-211853
• [産業財産権] 情報処理装置、情報処理方法及びプログラム (2020)
  • 発明者名: 村田幸久 小林幸司 松下誠司 清水直行 湯浅智之 港高志
  • 権利者名: 村田幸久 小林幸司 松下誠司 清水直行 湯浅智之 港高志
  • 産業財産権種類: 特許
  • 産業財産権番号: 2020-211852