研究課題
恒暗条件下飼育マウス肝臓の時計遺伝子PER2タンパク質発現量に及ぼすDrug A受容体の影響について検討した。野生型またはDrug A受容体欠損マウス肝臓の時計遺伝子PER2のタンパク質はIn VIVOイメージング装置を用い測定した。その結果、肝臓で自律的にリズムを刻む体内時計PER2タンパク質の発現リズムにDrug A受容体欠損が影響を及ぼさないことが明らかとなった。恒暗条件下飼育マウス肝臓の時計遺伝子発現リズムに及ぼすDrug A点眼の影響について検討した。恒暗条件下のリズムに及ぼすDrug A点眼の影響を検討したところ、行動リズムの周期、時計中枢SCNの時計遺伝子Per1、Per2発現量の変化が認められた。恒暗条件下飼育マウス肝臓のPer1、Per2の発現量は、Drug A点眼により野生型では変容したが、Drug A受容体欠損マウスでは認められなかった。恒暗条件下飼育マウス肝臓の時計遺伝子PER2タンパク質発現に及ぼすDrug A点眼の影響について、In VIVOイメージングを用い測定した。その結果、野生型にDrug Aを点眼した結果、肝臓の時計遺伝子PER2タンパク質の発現変容が認められたが、Drug A受容体欠損マウスでは認められなった。以上の結果より、Drug A点眼は肝臓の時計遺伝子PER2の遺伝子のみならずタンパク質の発現にも影響を及ぼすことが明らかとなった。本研究結果より、Drug A受容体作動薬は、Drug A受容体を介し、時計中枢の時計遺伝子の発現量および行動に影響を及ぼすものと思われる。また、体内時計の同調因子として最も強力とされる光に対して、Drug A受容体は重要な働きを示すことが示唆された。Drug A受容体を標的とするDrug Aは、中枢のみならず末梢の時計遺伝子発現に影響を及ぼすことが考えられる。
2: おおむね順調に進展している
本研究結果より、Drug Aはその受容体を介し、時計中枢に加えて、肝臓の末梢時計遺伝子の発現量および行動に影響を及ぼすことが明らかとなった。また、体内時計の同調因子として最も強力とされる光に対して、Drug A受容体は重要な働きを示すことが示唆された。Drug A受容体を標的とするDrug Aは、中枢に加えて末梢の時計遺伝子発現に影響を及ぼすことから、Drug A点眼により全身にわたり生体リズムの位相を操作できる可能性がある。以上のことから、おおむね順調に進展しているといえる。
昨年度までに実施した課題1、課題2に加えて、課題3について検討する。すなわち、昨年度までに、Drug AはDrug A受容体を介し、時計中枢および末梢の肝臓の時計遺伝子の発現量および行動に影響を及ぼすことを明らかにしている。昨年度の研究を充実させるとともに、本年度は、Drug Aが、眼球の時計遺伝子発現に影響を及ぼすか否かを検討する。恒暗条件下飼育マウス眼球の時計遺伝子PER2タンパク質発現量に及ぼすDrug A受容体欠損の影響を検討する。野生型またはDrug A受容体欠損マウス眼球の時計遺伝子PER2のタンパク質はIN VIVOイメージング装置で測定する。
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