研究課題/領域番号 |
17H06269
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研究機関 | 広島大学 |
研究代表者 |
茶山 一彰 広島大学, 医歯薬保健学研究科(医), 教授 (00211376)
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研究分担者 |
三木 大樹 国立研究開発法人理化学研究所, 統合生命医科学研究センター, 副チームリーダー (10584592)
茶山 弘美 広島大学, 医歯薬保健学研究科(医), 准教授 (70572329)
林 亮平 広島大学, 病院(医), 医科診療医 (80772053)
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研究期間 (年度) |
2017-06-30 – 2020-03-31
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キーワード | cas9 / ゲノム編集 |
研究実績の概要 |
OTCを含む複数の疾患関連遺伝子について、lentivirus vectorを用いてノックアウト細胞の樹立を目指したが、従来のNEHJ(non-homologous end-joining)法では、目的の細胞を得ることが困難であった。標的遺伝子が細胞の生存・増殖に不可欠である可能性も考えられたため、引き続いて、複数のコンディショナル・ノックアウト・ユニットを検討した。ここまでの検討では、Tet-OFFシステムがうまくworkしている。DSB(double strand break)導入の効率化を目指して、複数のsgRNAを設計・検討し、Double-Nickingやエクソソーム様小胞(Gesicle)産生システムについても検討を行った。 一方、ホモロジー・アームによる通常のノックイン法で必要とされるHDR(homologous recombination)の頻度が、HEK293T細胞等に比べて、肝癌細胞株HepG2では極めて低いことが分かった。HDRに依存しないような新規のノックイン法やssODN(single-stranded oligodeoxynucleotide)法を用いて、これまで得られなかった遺伝子のコンディショナル・ノックアウト細胞が得られてきた。 また、deliveryについてはEVの利用を考えており、消化器癌細胞株や患者および健常人の血液を用いて、EVの効率的な取得と多様なEVの特徴付けに関して、検討を行ってきた。より純度の高いEVを得るために、エクソソームマーカーであるテトラスパニンファミリー(CD9、CD63、CD81)に対する抗体を付加した磁気ビーズでcaptureした後、蛍光標識したテトラスパニン抗体を用いて、FACSで確認を行った。これまでの検討により、これらの発現パターンには比較的大きな細胞株・個人間の差が存在することが分かってきた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
ヒト小腸クローン病症例の腸管切除例の手術検体を用いヒト小腸から、およびB6マウスの小腸からオルガノイドを作成した。これまでオルガノイドからのエクソソーム抽出の報告がなかったため、目的遺伝子の挿入前にエクソソーム抽出の条件検討を行った。マイクロ磁気ビーズを用いエクソソームを分離し、エクソソームの表面マーカーであるCD9, CD63, CD81に対する抗体を用いて標識を行い、FACSにて検出を試みた。 研究の遅れの理由として、ヒト小腸オルガノイドの作成に時間がかかったこと、また、エクソソームの抽出も現段階で不十分な量であることがあげられる。 その他の領域においてはおおむね順調に進行している。
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今後の研究の推進方策 |
他条件でのエクソソーム抽出を試みている。エクソソーム抽出の良好な条件を確立するとともに、目的遺伝子mRNAのオルガノイドへの挿入を試みる予定である。
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