研究課題
日本人の主な失明原因である緑内障、加齢黄斑変性、遺伝性網膜疾患について、通常使われる実験動物(マウス、ラット、ウサギ、ブタなど)では眼の構造が異なるために、ヒトの疾患を正確に再現することは困難である。近年、それぞれの疾患について新たな原理による治療法が数多く開発されており、これを試験する疾患動物モデルがこれまで以上に求められている。この研究によって、より患者の病態に近い眼疾患モデル動物の作製が期待され、これまでのマウスを中心とした遺伝子解析動物よりも精度の高い情報が得られると期待される。当初の想定に反し、CRISPR/Cas9による作成法ではカニクイザルでのゲノム編集効率が低いことが判明し、広島大学の山本卓先生が開発されたプラチナTALEN法によるゲノム編集技術に変更した。その結果、CRISPR/Cas9と比較して大幅なゲノム編集効率の改善が観察された。プラチナTALENは特に両アレルの配列を同時に破壊することによるトランケーション・ホモ変異を作成することを得意とする。両アレルを同時編集はCRISPR/Cas9ではできなかったことである。ヘテロマウスからホモマウスを作製するための時間は数か月であるが、カニクイザルにおいては数年の時間がかかる。また、受精卵の確保がマウスと比較して難しいカニクイザルにおいて、一回のゲノム編集によって目的とするトランケーション変異が両アレルで得られることは作製時間の大幅な短縮となる。全ての遺伝性眼疾患において両アレルのトラケーション変異は報告されており、網膜色素変性の原因遺伝子EYS、緑内障の原因遺伝子MYOC、黄斑ジストロフィの原因遺伝子ELOVL4、レーベル先天黒内障の原因遺伝子LCA5の作製を開始した。すでに網膜色素変性EYS遺伝子の両アレル変異の妊娠が確認され、出産が2021年の夏に予定されている。
令和元年度が最終年度であるため、記入しない。
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すべて 雑誌論文 (16件) (うち国際共著 3件、 査読あり 16件、 オープンアクセス 11件) 学会発表 (5件) (うち国際学会 3件、 招待講演 3件) 備考 (2件)
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