がんの陽子線治療では、「2次被ばく」の問題が深刻化しつつある。陽子線は細く絞る段階で金属コリメータと反応し、また体内でも大量の高速中性子が発生する。これら付帯線量は、現状の治療システムでは正確に評価できず、また治療計画にも反映できていない。本研究では高速中性子の革新的イメージング法を開発し、実際の治療現場を模擬した陽子線ビームでイメージングに成功した。具体的には波形弁別型プラスチックシンチレータ2層からなるアレイ型検出器を試作し、散乱の運動学から中性子の到来方向を推定する。取得した画像からG(E)関数法を用いた線量当量推定に挑戦し、1次陽子線による付帯線量の約1/100という結果を得た。
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