本研究はシティプロモーションの現状を定量的な評価を試みた。調査対象としたのは、平成27年国勢調査で人口増加率が1位となった東神楽町、2位となった東川町である。本研究ではそれぞれの町の移住者、そしてその町生まれの住民に対し住民調査を行い意識調査を行った。本調査で重視したのが「関係性」である。調査対象とした二つの町はともに人口増加に成功している。しかし、彼らは将来的に「地域の担い手」となる住民を確保できているか。本研究はこれに注目した。 まず東川町についてである。この町はライフタイルやイメージの訴求に成功しているのが特徴である。本研究ではシティプロモーションの影響を弁別するため移住者を、接触群と非接触群に分けた上で、地域への愛着(地域との関係性)、住民との社会関係資本(住民関係性)、行政への意識(行政との関係性)について個別分析を加えた。調査では各年毎のシティプロモーション施策を整理した上で、各時期ごとに接触群と非接触群の差を検証した。その結果、時期によって差はあるものの、本研究が重視する「地域の担い手」になるような住民を一貫して確保できてはいなかった。一方、その独自のライフスタイルへの共感からか,移住後早い段階から地域への「愛着や誇り」を醸成していた。 次に東川町の隣町で、北海道で人口増加率1位となった東神楽町との比較を行った。東神楽町は旭川市に隣接する形で新規分譲を行い、その土地の安さと利便性というインセンティブによって移住者を確保してきた町である。独自のライフスタイルを訴求してきた東川町と比較すると、特に地域への愛着・誇りという点で明確な差が表れた。本研究で追加の分析で地域への愛着は、将来的には社会活動への参加意識や実施の活動への参加につながる重要な意識であることが判明している。地域の担い手となる移住者確保には、いかに地域への愛着をもつ住民を確保できるかが重要である。
|